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1 溺れた狐

永遠を教えたお前。

お前は気付く、だろうか。
いや斯様な場には来ないのだろうか…、む…判らん。
だがもし見付けたならば一つだけ、尋ねたい事がある。

俺の想いは、お前の負担になってはいないだろうか。

甘味を好み、好奇心旺盛。
落ち着きの無い所作に時折見せる甘えた仕草。
天然呆けの癖に聡くもこの俺に、『永遠』を教えてくれた。
しかもお前…あの着物はお前の『赤』から候補に挙げたと言うのに、俺の色だと…?
た、確かに俺の羽織にも赤はある。あるが…は、恥ずかしいではないか…!

全く…常がこの調子で、愛おしくて堪らないのだよ。
俺の募集にお前が応えた事、今となっては奇跡に等しい。

負担にはなりたく無い故、想いを隠そうと試みはするのだが…すっかりお前に溺れているようだ。

もし負担になっているのならば、お前の『愛し方』を教えろ。
逆にもし、負担で無いのならば、ずっと…ずっと俺の傍らに居ろ。
何度でも言うぞ。
俺の傍らを離れる事、許さぬ…とな。


こう綴ってはみたが、いざとなると見付からぬ事を祈ってしまうな…。
まあ良い。
この答えが与えられるのを待とう。


佐和山の狐より。
赤備えの武士へ。