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1 MATU

隻眼の…

誰がブラコンよ、誰が!
何て…覚えがあったから思わずここに来ちゃったわ。私なのか違うのか、それは分からないけれど…もしそうならば、とても懐かしい。
今はもう無いあの場所で、兄を怪我させて泣いた私の涙を受けとめてくれてありがとう。
て、ああ、思い返せばブラコン…かもね。
2 NATU
あ〜、やだやだ。動揺のせいか名前間違うなんて。

もし、あなたが見付けたら笑わないように!
3 CAIN
うあっ!?お前、嘘。ナツ…!?
うわ、うわ〜、踏ん切りつけようと思ってあんな事言ったのに。あ〜、すげ〜恥ずかしい。忘れて。

でも…何か安心した。ちょ〜っとヌケてんのは相変わらずなんだな。ハハハ(笑)

…え〜とだな。なんつ〜か…元気?
4 NATU
わ、笑ったわね!くっそ〜!…まぁ、いいわ。間違えたのは私だし。返事、くれるなんて思わなかった。あまりに昔だから。でも嬉しい。私は元気よ。相変わらず、例の猫追っかけたり追っかけたり追っかけたり……(笑)

…愛してる、だけ?どうしようかなぁ。昔はとうとう聞けなかった気がするし。ただスルーするのももったいないわ。

カイン、あなたは元気なの?
5 CAIN
それ、俺の台詞だって。まさかまたこ〜やって話せるなんて…て言うか話してもらえるなんて思ってなかったし。いや〜、ごめん。ホントに嬉しい。

はは、捕まんね〜の?猫。何でも屋さんが手伝ってやろっか…なんてな。
ま、元気ならい〜や。俺も元気。相変わらず高い所大好き。


ちょ、あ、愛……待て待て!スルーしね〜のかよ!
………。
んじゃ聞くけど、信じてくれんのか?俺は言いたい事全部、あそこで言ったつもりだぜぃ。
6 NATU
また話せるんだもの。チャンスは無に出来ないわ。

あの頃もよく手伝って貰ったよね。ありがとう。カイン、屋根の上好きだったよね〜。私もよくお邪魔してた(笑)

あの頃の私ならあの言葉はグーパンチね。ナックル付きで。
今は、信じるよ。でなきゃ、何年も前の事をこんな所に言いに来ないと思うの。
あの頃、カインは私をちゃんと好きではないのだと思っていたからビックリした。
7 CAIN
そりゃごもっともだな〜。ナツはもうこの世界にいないだろうと思ってたし。

い〜んだよ礼なんて。だってお前といるのが楽しかったんだから。そうそ、屋根の上は今も好きだぜぃ。

そっか…ありがとな。正直、お前の耳に入るなんて思ってなかったからこそ言えたんだけどさ。
そ〜だろな。ごめん。でも離れたくなるくらい好きだった。女々しく引きずってるなんて思った事もなかったろ〜?
8 NATU
それは私も。カインは居ないと思ってた。

そう言って貰えると嬉しい。私も楽しかった。側に居たかったし。二人で屋根に居る時間も凄く大切だったな。
分かってる。だってカインはヘタレだもん(笑)なんてね。そこも好きだったけど。
…嫌われて去っていったと思った人が、まだ自分をなんて…思いもしないよ。
私もね…あの時は怖くて、貴方の気持ちを聞くことが出来なかった。聞いておけば良かった。離れない道を探せたら良かったね。
9 CAIN
どっかでさ、違う姿で、会ってたりしてな〜。

今だから言うけど、屋根の上にいると…見つけやすいのか何だか知らんが、お前が来てくれる率が高い気がしてさ。待ってたんだ(笑)

そ〜か、分かって……ってちょっと待て!ヘタレは確定かよ!?…まぁ良〜けど(笑)
嫌いになる訳ね〜だろ。好きになりすぎんのが…怖くて、心配で。いつか離れる時の事を考えたら、去る事しか出来なかった。
ん〜ん、もしあの時に聞かれてても、きっと俺は応えられなかった。結局俺がコドモだったんだよ。
10 NATU
それもあるかもね。意外に狭い世界だから。
…初耳。そうだったんだ!今更だけど嬉しかったり(笑)
私も出る時はカインに逢えたらなぁとか…思ってたな。

やっぱりヘタレではないですか。始める前からいつか駄目になる、なんて考えながら過ごすなんて。
石橋叩き過ぎて崩しちゃってるのよ。

渡った先、どうなるかは二人次第なのに。
終るのは二人のせい。続くのは二人の努力。
誰だって見えない物は怖いのよ。何て、責めてるみたいになっちゃったわね。ゴメン。
私は今もコドモみたい(笑)
11 CAIN
ホント、広いようで〜って感じだな。

初耳?当たり前だろ、初めて言ったんだから(笑)


……ありがとう、ナツ。やっぱお前の言葉が一番響く。
お前はコドモなんかじゃね〜よ。ずっとお前に背中押されてばっかだったしな。…俺ヘタレだし?なんて(笑)

渡ってみたら良かった…かな。ど〜して俺は、あんなにも自分の事しか考えてなかったんだろ。ナツの事信じてたつもりで…自分の事すら信じてなかったんだろ〜な。

…なぁ、ナツ。
やっぱり俺は、ナツが好きだよ。
何を言っても足りないくらい感謝してる。
また話せて、本当に良かった。
12 NATU
カインもありがとう。あなたには、沢山の気持ちを頂きました。

あの頃のあなたは、いつか二人でと先の話をしてもどこか寂しそうだったわ。辛いときは周りを見る余裕なんて無くなってしまうものだから、せめて自分を大切にして欲しかった。
あなたが今、そういう風に考えているという事は余裕が出来たという事。振り返れるのは通りすぎた証拠だしね。

あ〜、何というか言葉に出来ない。私もカインと話せて良かった。…もし、今私が橋を架けたらあなたは渡って来てくれるのかしら?
13 CAIN
そ〜だな。余裕なんてなかった。先に繋ぐ…繋がなきゃならない事とか、そ〜いうのも考えられなかった。ま、今も、いつでも先が見れる程オトナじゃね〜けどさ。
ハハ、しっかし、ナツは俺より俺の事を理解してるな(笑)


…俺さ、この数年間、お前の事探してた。ど〜しても謝りたくて、それに沢山礼も言いたかった。それを遂げた後どうこうするなんて考えてなかったよ。
でも、またナツが橋を架けるって言うなら……俺は渡りたい。もし、渡った先にお前がいてくれんなら。
14 NATU
だって、あなたを見つめていましたもの。
他人の方が気が付く位、あの頃のあなたは…ん〜、酷く無理をしていた?表現が上手く見付からないわ。怪我ばかりしてたし。
今は私も考え方とか色々変わったし。お互い…少しは大人になったという事で。

橋だけ架けて
「行ってらっしゃい」なんて馬鹿な事はしないわよ(笑)その言葉、信じるから。ありがとう。
これからの私とあなたがどんな関係を築いていけるのかは分からないわ。それでもいいなら、待ってるから。またあの屋根の上で話をしましょう。
15 NATU
橋、架けてみたわ。

どこかは自分で探してみてちょうだい。
16 CAIN
すぐ行く。
ちっと待ってて。