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1 藍染惣右介

油揚げの<君>

お前が気付いてくれる事を祈って。

――毒吐き板を見たよ。あれはお前だろう?
本蝶を送るなと言われてしまったから此方に板を立てさせてもらった。声を聞かせておくれ。
…少しで良いからもう一度話がしたい。

今までの事は確かに僕が悪かった。お前に淋しい想いをさせたことも、辛い想いをさせたことも全て謝ろう。
そして今になって連絡を寄越したことも…謝ろう。
僕のことを忘れかけていたと、お前はそう言ったね。けれどそれはまだ全てを忘れ切った訳でない、と、こう解釈しても構わないだろう?
二年共に過ごしたんだ。
簡単には忘れられまい。それは僕とて同じこと。
最終的にはやはりお前を思い出し求めてしまう。素直で可愛い子を求めているんじゃない。
僕の身を案じ気遣い愛してくれたお前でなければ。

我儘なのは承知の上だ。今一度傍に戻ってきてくれないだろうか。

僕の想いは廃れてなどいない。「永遠」の約束は破るつもりはないよ。
2 市丸ギン
…何やの、ほんま。しつこい男は嫌われる、てアンタが言うたんやないですか。
もう区切りついたンと違いますの?…呆れた人。そないボクに固執する事あらへん。この世界ボクに似た人なんようさん居りますよって。
嗚呼、せや。募集事項にそう書かはったらええんとちゃいます?僕の身を案じー…、て。応募、来はりますよ。ボクが…保証したります。

ボクがこない刺々しとる訳、ボクが綴った毒見はったんならお判りですやろ。…明白な裏切り。まさに此れと違いますん?――…ッハ、今となってはどうでも構しまへん。ようやっと鼻で笑い飛ばせる様なってん。

謝罪も、…聞き飽きましたわ。謝罪云うんは今までの事を謝るだけや無い。反省して次に繋げる事を云うんよ。…アンタそうした事一度でもあります?百年の恋も言葉交わさへん月日が長いと…冷めますわ。重要なんは年月と違います、ただ日ィ重ねるだけなら放っといても出来ますわ。問題は…一日の濃さ、やろ。ボクとの間に空白作ったアンタに呼び戻されてのこのこ着いて行く馬鹿とちゃう。ボクにも…心、あんねん。
それと、勝手な解釈は止して下さい。ボク、もう忘れました。まだアンタの事は忘れられへんでも、アンタと過ごした日ィいうのんは記憶の闇に投げさせて貰いました。
…此れ見付けてから言葉返すか否かえらい迷ってん。せやけど、アンタにもボクを忘れて貰う為に今こうして綴っとる。
今一度云います、…貴方の傍には戻れへん、否、戻らへん。ボクを大事にしてくれはる人、居んねん。
ボクを置いて何処か行ったりせえへん、「永遠」を約束したりせえへん。

さよなら。ほんまにさよならや、…もう逢う事もあらへんやろねぇ。もうボク此処に書き込まへんよ、…周り見てみィ。素敵な場ですやろ。愛し合うとる者が言葉交わしてん。ボク等は此処には不似合い。頭のええお人やさかい、此の意味判らはりますやろ。

最後になりましたがー…おおきに。こないなボクを探して求めてくれはった事には、お礼を云わせて下さい。貴方にも、ええ人が見付かります様にて…お願いしときますわ。ほんまにおおきにな。…バイバイ。