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1 天上院明日香

Nice to meet you again.

約束通り立てておいたわ。
これで完全に心機一転、卒業を当分忘れられるわね?


タイトルに捻りが無くてごめんなさい、頭に残る単語だったからついつい拝借。


それじゃあまた、意地悪王子に会える事を祈って。


――…Nice to meet you again.
2 仁王 雅治
――…パクリ、やの。
何て。

先ずは場所の設置に感謝。此処なら結構頻繁に覗けるぜよ、…覗くつもり。
意地悪王子も眠り姫も過去の話じゃろ、最近の頻度なら俺の方が多いけ。


次回は眠らん様に気ィ付ける。
3 天上院明日香
それは良かった、電信向きじゃない事が解った時点で此処を利用するべきだったわね。

あら、変わったりなんかして居ないわ?雅治の意地悪は健在だし、私はつい最近まで“永遠の眠り”につこうとしてたんだもの。

次回の会瀬、期待してるわね。
4 仁王 雅治
言うとるそばから遅れた。

最近悪戯した覚え無いんじゃけど、何の事かのう?幸いにも眠り姫は目を覚ましました、王子様の――…のおかげで。

次の逢瀬、場所は新居で構わん?未だに未使用の。
5 天上院明日香
また眠ってしまわない様、きちんと見張っていて頂戴?

雅治の場合特別何か悪戯をするんじゃなくて言葉遊びが意地悪。――…そうでなくちゃ雅治じゃないか。

勿論、せっかく兄さんに見つかって居ないのに使わないなんて宝の持ち腐れだわ。
6 仁王雅治
見張っとる間に俺が寝そうやの、人の寝顔見とると眠くなる。

それはお互い様じゃろ?ああ、明日香のは俺のせいで上達したんか。今更ながら口達者に後悔ナリ。

部屋は未だしも此処は今に見付かるな、多分。出掛ける時は背後に充分気ィ付けんしゃい。


一つ伝言、火土日は本体の都合で深夜迄暇が無いけ、必然的に逢瀬はそれ以外で宜しく。
7 天上院吹雪
――…ふむ、僕の噂をしていたようだね。
雅治君、僕から逃げようだなんて酷いじゃないか。
こんなに素敵で優しい兄さんは他に居ないって言うのに…。


元気にしてたかい?
明日香が君の話をしなくなったので心配だったんだよ。
まさか住居を移動してたとは…ね。


おっと。今日は明日香の公認さ、可愛い妹はどうやら大事な決闘があるらしい。
明日香の空いてる曜日は月、木、日……よって会瀬は月か木になりそう――との事だよ。
ふむ、また楽しみが増えたな。


用向きは伝えたから僕は失礼するよ。
バーイ雅治君?
8 仁王雅治
おいおい、見付かる前に白状したんか。少なくとも、まだ俺の兄さんではないぜよ。

肝心な時に役に立たんお方やの、吹雪サンは。心配いらんけ、暫くはファンの相手でもしとればよか。


月…木――…来週いっぱいは忙しいみたいじゃけ、それ以降で。月曜も木曜も空けとく、ちゅうて伝えといて下さい。
9 天上院吹雪
僕と明日香の間に秘密何て有るわけ無いだろう?二人の事は全て承知さ。

――…さて、今回も伝言を預かったから本題に入るとするよ。
明日香は11月中旬まで纏まった時間が取れないらしい、だからもうしばらくお預け…との事。


――…フフ、恋に障害は付き物って事かな。

二人の連絡が途絶えないようこの僕が愛の伝達役をしてあげよう。
10 仁王雅治
終わったー、ちゅうて背後が叫んどるぜよ。やっと一段落ついたみたいやの。
報告宜しく、吹雪サン。

伝言役は一向に構わんよ、いらん着色さえ加えんとけば。甘いのもクサいのも御免ナリ。


中旬が楽しみやの、俺は此処で暇な日々を待つとしようか。
11 天上院明日香
兄さんの相手ばかりさせたら雅治が可哀想、って訳でこんな時間になっちゃったけど覗きに来たわ。
まずはお疲れ様。

私もあと一週間…ううん、来週の頭には片付ける予定だから。


もう少しだけ待っていて?その分会ったときには――…そうね、それ相応の待遇を期待していて構わないわ。
12 仁王雅治
ん、明日香もお疲れサン。危うく俺と吹雪サンの場所になるとこじゃ、気ィ付けんしゃい。定期的に覗きに来る事。


別に急がんでもよかよ、こっちは暫く落ち着いとる。余裕持って片付けてから来んしゃい。

そいつは楽しみやの。王様のような待遇を第一に期待しとくぜよ。また来週。
13 天上院明日香
そうね、あんまり兄さんにばかり頼ってたら奪われてしまいそう。
日々用心、ね。


どうにか片付いたわ。今後は今まで通り木曜日、日曜日は確実に時間が取れるから。

王様…ふふっ、そうね。それ位の待遇をしても良い程待たせてしまった。
なら私は雅治の執事にでもなろうか。
14 仁王雅治
心配せんでもそれだけはなかよ。吹雪サンはともかく俺にソノ気はない。


日曜は来週からなら空くけ、逢瀬は月曜か木曜やの。都合が良い方で指定しんしゃい。
王様待遇は当然じゃけど、執事は不満。やっぱりメイドじゃろ?世の男の願望らしいからのう。
15 天上院明日香
ふふっ、冗談よ。
…兄さんなら“二人を試す”とか言って遣りかねないけど。

それなら月曜日、何時もの時間に例の場所でお願いできる?

女王がメイド…か。そんな事が出来るのは雅治位ね、まさに王様特権。
16 柳生比呂士
取り急ぎの為用件のみ、私から連絡させて頂きます。実は背後の方のお父様が急に倒れたそうで、現状実家まで車を走らせている最中です。

容態の方はわかりかねますが、週末までは帰れそうに無い為、お先にお詫び申し上げます。身体が空き次第サイトの方に書き込みますので、暫くお待たせする事をお許し下さい。
17 天上院明日香
久しぶり、柳生君。
毎度の事ながらこんな再会の仕方は複雑ね?

会瀬の件については了解、此方が沢山待たせてしまった時期だってあったんだもの…いくらでも待つわ。


わざわざ伝言役、ありがとう。
18 切原赤也
明日香さーん、お久しぶりッス!エース切原が今日の代理ッスよー。
仁王先輩は隠れて出て来ねーし、柳生先輩だと何か堅いンで、やっぱ俺しかいませんよね?

あ、背後の親父さんなんスけど、ただの過労だそうです。人騒がせッスよねー。せっかくの地元なんで、満喫して帰ってやるって言ってました。身体空くのは日曜からなんで、また都合良い日教えて下さいね。一字一句間違いなく伝えますんで!
19 天上院明日香
大切なチームメイトも雅治にかかれば只のパシリね。
まぁ…事情が事情だから今回は許すけど…。
とにかく代理役ご苦労様。

そう、それを聞いて安心したわ。
私も丁度月曜日まで里帰りの予定だから再会は今週なら木曜日のみって伝えてくれる?

…あ、それとメイドの件はこれで相殺って事もお願い。
20 仁王雅治
――…むう、ドタキャンしてスマン。あと、代理の連続も申し訳無い。
合わす顔が見付からんかったけ、少し代弁を…。


以上謝罪終わり。

だいたい背後が悪いんじゃけ、俺は関係無いじゃろ?一切合切責任放棄ナリ、いや…そもそも責任も無か。

――…さて、どっちが本心か当ててみんしゃい。


赤也に聞いたんじゃけど、ソレとコレとは話が別。よってメイド。
21 天上院明日香
――…どっちだって構わないわ。
急な用事だったし、雅治が悪い訳でも無いもの。

但しメイドの件は雅治が私に良い待遇をしてくれるならの条件付きで許可。


友達をパシリに使った分の責任、こんな名目でなら受けてくれるかしら?
22 仁王雅治
む、一言で消された。
その割りに不機嫌に見えるのは気の所為かのう?
臍曲げると中々機嫌戻らんのが難点やの。

良い待遇?――…次回メイドの後は立場逆転して俺が執事か。女王と執事じゃ洒落にもならん、ハマリ役じゃのう。


パシリじゃなかよ、快く了承してもらえたけえ。
明日香も実の兄をパシリに使うあたりお相子ぜよ。
23 天上院明日香
別に怒っては居ないけど、中々会えないとその内本当に拗ねて仕舞うかも…何て。

思う存分執事をこき使おうかしら?
それとも我が儘なお姫様にでもなろうか。
――…まずはメイドをどうにかこなさなくちゃね、難題。


確かに二人共嫌々って雰囲気じゃ無かったけど…この詐欺師はどんな手を使ったのかしらね。
兄さんのは趣味よ、趣味。私に暇が無いと解るなり家を飛び出すんだもの。悪い癖ね。
24 仁王雅治
見た限りじゃ既に拗ね始めとるよ、拗ねると素っ気なくなるからのう。
多少反省の余地ありか。


執事って言葉の響きに騙されたらいかんよ、黒いのもおる。振り回されんように気ィ付けんしゃい。
別に細かい所作は気にせんけえ、メイド服姿だけでもお宝ぜよ。


対等な取引程曖昧なもんは無か、如何やって得と思わせるかが問題ナリ。
さて、何も問題無ければ今夜例の部屋で。時間は何時も通りに22時半辺り、ではまた後程。
25 天上院明日香
――…対等な取引程曖昧なものは無い。まさにその通りね?埋め合わせをするつもりが貴重な一面を拝めたもの。


得したメイドは主人が風邪をひかないように添い寝でもしようか。
久しぶりに寝顔を見ながら眠れるわね。


次は執事ね、黒か白か…いずれにしても楽しみにしてるわ。
――…お休み、御主人様。
26 仁王雅治
むう、久しぶりでも癖は治っとらんみたいやの。あまりに心地良くて寝てしもうた。御蔭様で風邪はひいとらんよ、暖房器具係復活。

返事遅れはスマン、背後の携帯が壊れた。やっと直したみたいじゃけど。

黒い執事の方がやりやすそうやの、悪魔にはなるつもりも無いが。
27 天上院明日香
うたた寝風邪に御用心、必ずしも暖房器具係が居るとは限らないじゃない?

執事って言うと衣装は――…まぁ、兄さんに頼めばどうにかなりそうね。


少し遅くなって仕舞ったけど、ハッピーバースデー。プレゼントは次回までのお楽しみ。
28 仁王雅治
お互いもそうじゃけど、背後の体調にも留意。いよいよ冬本番じゃし、年末は多忙ナリ。


執事なら…燕尾服か。幾ら吹雪サンでもそんな服は無いじゃろ。

ん、有難さん。正直プレゼントはあんまり必要なか、再会再起が1番の喜び。
29 天上院明日香
――…言われた側から早速風邪を引いて仕舞うなんてね、情けない。

男の兄さんがメイド服を持ってるのよ?
燕尾服だって例外じゃない、と思うけど…。


ふふ、随分と謙虚ね。それじゃあこれからも側に居る事がプレゼント、ね。
30 仁王雅治
言わんこっちゃない。無理はいかんよ、適度に休む事も必要。じゃけえ俺も部活休むじゃろ?

寧ろメイド服の出所を疑いんしゃい、裏で何しとるかわからんよ。
有れば上々、但し明日香は見たらいかん。俺が直接受け取る。


とりあえず二回目の年越しも近いのう、願わくば来年もこのままで。
31 天上院吹雪
やぁ、久しぶりだね雅治クン。
明日香の風邪がなかなか長引いてる様でね。燕尾服の寸法調査がてら伝言を届けに来たよ。

――…ふむ、寸法は僕の推測で作った物で良さそうだな。

おっと伝言を忘れる所だった。
『願わずとも共に』だって、ふふ…何の事かなぁ?
僕からは以上、次は例の服を渡す時に。
32 仁王雅治
さて、風邪云々はともかくとして―…ここまで行事事に無頓着な俺はどうなんじゃろ?世間の風潮は所謂聖夜、もう過ぎたか。


推測で寸法当てるとかどん……失言ナリ。触られるよりはマシじゃのう。


あんまり乗り気では無いんじゃけど、貰える物は貰っておく。
伝言はお大事に、と――…

Merry X'mas.
33 天上院吹雪
お待たせ雅治……何てね?
明日香に会いたかったかも知れないけど、例の物を届けに来たから許してね。

僕が直々に作らせた物だから出来はなかなか良いと思うよ。
初御披露目は可愛い妹の為に遠慮しておくけどね。


しばらく時間があるらしいから雅治クンの空いてる時間を教えてくれるかな?
34 仁王雅治
年始早々忙しさに忙殺された自分自身を悔やみ、たった数分で済む伝言を後回しにした私めに鉄拳制裁で。

お待たせ致しましたお嬢様。願わくばお許し頂けますよう、叱咤覚悟で口調から入らせて頂きます。


嗚呼、心配せずとも衣装の寸法は問題無く――…多少気味悪くもあります。が、一言御礼をお伝え下さいませ。

既にお暇な時は過ぎたかもしれませんが、宜しければ日程を。本日金曜、若しくは日、月あたり。誠心誠意の奉仕をお約束致します。


では後日に。
35 天上院明日香
取り敢えず。誠心誠意の奉仕は良いから、その口調を改めてくれる?

待たされるよりも気味が悪……くは無いけど調子狂っちゃうもの。
雅治の言う“お嬢様”に成りきって言うならば二人っきりの時は堅苦しいのは無しに、ね。

日、月共に用事が入って仕舞って居るの。だから唐突だけど今夜でお願い出来るかしら?

問題が無ければ今夜何時もの時間に例の部屋で。久々の逢瀬を楽しみにしてるから。
36 天上院明日香
忙しいだけか、それとも……。


どっちにしろ大分流れてしまったから上げさせてもらうわね。
37 天上院明日香
ただ上げるだけじゃ悪いから、勝手に独り言。まだ執事姿も見てないんだもの…はいサヨナラって事は無い筈。

――…なにより、雅治がサヨナラを告げない限り私はいくらだって待てるわ。


……で、独り言ね?
思い出してたの。星の海での出来事や電信でのやり取りの間のわずかな逢瀬を。

お互い記念日もろくろく覚えてないから、一年過ぎた今もあの時のまま過ごして来たけど…。

こんなに恋しいと思う時はないわ。
私が逃げ出した時も
雅治はこんな気持ちだったのかしら…?

声が聞きたい。だからずっと待つのよ。すっぽかされた約束もいきなりの失踪も全て許すから……。


ただ会いたい。
38 天上院明日香
またあと幾つか月を重ねたら二年目が来るのね。一年なんてあっという間。
今日は、何を書こうかしら。
節分の事?バレンタインの事?兄さんの事?

――…ああ、そう言えば去年のこの時期は既に電信でのやり取りに変わってたわね。だからバレンタインのチョコすら渡せなかった……ような。

お互い電信が苦手なんだからもっと早くから新しい場所を探しておけば良かったのにね?
お陰で兄さんに見つかる事無く逢瀬出来た訳だけど。


今年は…今年こそは、か。
手作りにしようと思うの。
嫌がらせで、とーっても甘いチョコ。
それとも逆に苦いくらいのチョコでも悪く無いわね。

更に接吻も追加。どっちを食べても雅治は意地悪く笑うだろうけど。――…いつもみたいに。


………そう言う日常が愛しい。
失いかけなきゃ気付けない私はとんだ馬鹿者ね。そう言って叱ってくれたら嬉しい。

また、ひょっこり帰って来て欲しい。
悪かったって…悪びれずに謝って欲しい。
それに呆れた私にいつもみたいに意地悪な事を言って欲しい。


Nice to meet you again.
大好きなタイトルをもう一度。
39 仁王雅治
むう、チョコ貰い損ねた。何て言うべき事は他にあるんじゃけど、全ては語らんよ。不幸な事故とだけ。

不在の間に綴られた言の葉を見るだけで、想いの丈は十二分に伝わった。待たせてスマン。


――…ただ、見るのも書くのも最後になるぜよ。実際事故の影響は一月末迄、それでも年明け以降の多忙は俺から暇を奪うには余りある程で。
正直無言で去る事も手段の一つと考慮した、綴った返事を見てしまえば前回見せた意思の揺らぎが繰り返されるからな。

それでも姿を見せるんは、決意が固まったからと自負出来る。


現状の多忙は覆せん。待たせ過ぎるのは性に合わん、何より堪え切れん。それでも明日香は多分、待つと言う…はず。
ん、予定通り潮時ナリ。今宵が卒業式。俺は引退するけ、もう待つ必要はなか。独りで決めて勝手に話を進めるあたり、やっぱり俺は意地悪王子やの。自覚ありあり。申し訳ない。


返事は見るかもわからんし、好きにしんしゃい。
あ、気持ちが薄れた訳じゃなかよ?想い出は胸の内にしまって、笑顔で見送ってくれると有り難い。


Good bye my only one.
40 天上院明日香
毎日毎日見てた。
此の時間、もしかしたら――…を期待して。
こんなもしかしたらなら、無かった方が良いかしら?

――そんな事無い。来てくれて嬉しかった。本当に本当に…ありがとう。


散々待たせて、でも勝手に行くのね?
笑顔で見送るなんて出来ない。出来ない事知ってる癖に…。
意地悪王子、嫌い嫌い嫌い嫌い。大嫌い……


そんな風に思えたら良いのに。
生憎自分を偽れる程大人じゃないの。
こんな言葉が聞きたくて、ずっとずっと待ってたんじゃ無い。
私は眠らない。
絶対に眠らない。

この場所が流れに流れて消えても、雅治が私を忘れても
私は絶対に眠らない。
だってもう決めた事だもの。
私が一度眠りについたあの日から…。


こんなに子どもっぽくてごめんなさい。
だけどそれでも良いの、私は一度後悔したから。
気持ちは…多忙や様々な事情で抑えつけて良い物じゃ無いって。

――…だけど雅治の好きにしたら良い。
雅治の望む先へ、行けば良い。
思い続けるだけならば誰の迷惑にもならないでしょう?

愛を教えてくれてありがとう。
沢山の思い出もありがとう。
雅治の恋人になれて良かった。


愛してる。
ずっとずっとずっと…愛してる。
41 無名さん