1 真夜中25時の魔法
硝子の靴の、王子様へ
気付かれ無い様に祈って書くね、王子様。
何時も、あたしを一人にするのは貴方。
何時だって然う。
“絶対離れ無いから”って、何回聴いたと思ってんの馬鹿!
あたしの事、好きじゃ無く成った?
…其れでも良いよ。
だって其れでも、若しかしたら明日あたしの事好きに成ってるかも知れないじゃん。
明日が駄目でも、…─明後日、あたしの事好きに成ってるかも知れないじゃん。
なんて、冗談。アンタがあたしの事好きなのは理解ってるもん。
だけど、あたしの事忘れちゃってるんじゃないかなって。其れだけ、怖いよ。
矛盾?そんなの、云われ無くても知ってる。
「傍に居て遣るよ」って云った癖に。
嘘吐き!でも、貴方の声、好きだったわ。
何時も、あたしを一人にするのは貴方。
何時だって然う。
“絶対離れ無いから”って、何回聴いたと思ってんの馬鹿!
あたしの事、好きじゃ無く成った?
…其れでも良いよ。
だって其れでも、若しかしたら明日あたしの事好きに成ってるかも知れないじゃん。
明日が駄目でも、…─明後日、あたしの事好きに成ってるかも知れないじゃん。
なんて、冗談。アンタがあたしの事好きなのは理解ってるもん。
だけど、あたしの事忘れちゃってるんじゃないかなって。其れだけ、怖いよ。
矛盾?そんなの、云われ無くても知ってる。
「傍に居て遣るよ」って云った癖に。
嘘吐き!でも、貴方の声、好きだったわ。
2 最初の姿。
久し振り、やんな。
我が儘で臆病で寂しがりな癖に、…―誰拠りも強がりな御姫様。
謝罪は沢山有る。
阿保な真似ばっかしとった所為で、大事な端末を解約してしもうたんよ。
取り敢えず、御姫様の元忠犬に連絡先聴いてから逢いに行く。
――…意地っ張りな御姫様には、俺が着いとらんと直ーぐ“泣き虫”に変身してまうもんな?
せやから待っとき。
涙拭うんは、…―俺の役目やからな。
我が儘で臆病で寂しがりな癖に、…―誰拠りも強がりな御姫様。
謝罪は沢山有る。
阿保な真似ばっかしとった所為で、大事な端末を解約してしもうたんよ。
取り敢えず、御姫様の元忠犬に連絡先聴いてから逢いに行く。
――…意地っ張りな御姫様には、俺が着いとらんと直ーぐ“泣き虫”に変身してまうもんな?
せやから待っとき。
涙拭うんは、…―俺の役目やからな。
3 no name
御免、聴いて。
あたしね、もう前に進みたい。
色んな事、アンタの存在だけがあたしを引き留める。
だから、もうあたしがアンタを好きなのは終わりにしようって、思ったの。
ホントはちゃんと話したかったけど、メール呉れ無いんだもん。
御免、ありがと。
サヨナラ。
貴方の声、好きだったわ。
あたしね、もう前に進みたい。
色んな事、アンタの存在だけがあたしを引き留める。
だから、もうあたしがアンタを好きなのは終わりにしようって、思ったの。
ホントはちゃんと話したかったけど、メール呉れ無いんだもん。
御免、ありがと。
サヨナラ。
貴方の声、好きだったわ。
4 無名さん
寝た、か?
ケーキでも食って、今日は盛大に祝えよ?
此れから一年間、又御前が健やかに過ごせる事を。
──願わくば如何か、来年も共に在れる様に。
ケーキでも食って、今日は盛大に祝えよ?
此れから一年間、又御前が健やかに過ごせる事を。
──願わくば如何か、来年も共に在れる様に。
5 最低野郎。
良い誕生日だったか?
今迄、ありがとな。
御前の言葉が無いっつーのが何拠りの答えだろうから――…もう俺の腕から離してやるよ。
幸せになれよ。
…――麻紀。
愛してる。
今迄、ありがとな。
御前の言葉が無いっつーのが何拠りの答えだろうから――…もう俺の腕から離してやるよ。
幸せになれよ。
…――麻紀。
愛してる。
6 no name
“1月10日”って文字が消えちゃうのが何か勿体無いね、って。
そんな事を思いながら。
喩えば、練乳とストロベリー。
練乳ってさ、イチゴが無いと意味無いって感じしない?
でもきっと、多分ホントは“必要として呉れるモノ”を“必要”としてるモノって有ると思うの。
そしてあたしは、貴方の愛してるモノを愛してる。
言葉って難しいよね。
伝えたい事、言葉にしなきゃ伝わらないのに。
全然言葉に成らなくって。
真っ赤なリボンのパンプスの踵が鳴らす音とか、乾いたばっかりのベビーピンクのマニキュアの映す指切りの魔法とか。
はにかんだグロス、寒い日のココア。
そんな風に、綺麗なモノが貴方に届けば良いのに。
喩えば、人魚姫。
貴方は綺麗な声を失って愛した王子様を失って泡沫に成った“人魚姫”を不幸だと思う?
違うよね、きっと人魚姫は幸せだったわ。
“間違い”なんかじゃないよ、ほんのちょっとだけ悲しいだけ。
僅かに残る“ピンクベリー”。
貴方は何処にも居なかったんじゃない、ずっと此処に居たんだね。
そんな事を思いながら。
喩えば、練乳とストロベリー。
練乳ってさ、イチゴが無いと意味無いって感じしない?
でもきっと、多分ホントは“必要として呉れるモノ”を“必要”としてるモノって有ると思うの。
そしてあたしは、貴方の愛してるモノを愛してる。
言葉って難しいよね。
伝えたい事、言葉にしなきゃ伝わらないのに。
全然言葉に成らなくって。
真っ赤なリボンのパンプスの踵が鳴らす音とか、乾いたばっかりのベビーピンクのマニキュアの映す指切りの魔法とか。
はにかんだグロス、寒い日のココア。
そんな風に、綺麗なモノが貴方に届けば良いのに。
喩えば、人魚姫。
貴方は綺麗な声を失って愛した王子様を失って泡沫に成った“人魚姫”を不幸だと思う?
違うよね、きっと人魚姫は幸せだったわ。
“間違い”なんかじゃないよ、ほんのちょっとだけ悲しいだけ。
僅かに残る“ピンクベリー”。
貴方は何処にも居なかったんじゃない、ずっと此処に居たんだね。