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1 金糸雀姫

愛しい瞳色の日記帳

青緑、深く優しい…貴方の瞳の色。
初めて外の世界に出て、貴方に教えてもらって初めて購入した、綺麗なノート。
これは貴方への想いを綴ることだけに。
本当は、幸せな事を書き留めようと思っていたのだけど…私の幸せは、貴方そのものだから。

貴方は気付いたら…どう思うかしら?
照れますか? 笑いますか?

…微笑んで、くれますか?


最後の1ページまで、沢山の幸せを、貴方への想いを言葉にしたいです。
今日は、大切な日。
願わくば…貴方に幸せが訪れますように。

愛しています、世界で唯一の人へ
2 金糸雀姫
貴方と離れて、まだ少し。
帰って来るまでカレンダーを見ながら指折り数えて待つ日々です。
やはり、逢えないのは寂しいことだけれど…貴方を待つこの時間さえも、とても大切に感じます。
同じ空の下に、貴方も居るのだから。


先日、雪を見ました。
ふわふわと、小さな冬の妖精が舞い降りる。
手にすくい取ると、散りばめられた結晶は溶けていく。
…それを見て、思ったことがあります。


貴方の … 優しさのようだと。


静かに…ひとつ、ひとつが気持ちのこもった結晶で、
私の心に、降っては…溶けていく。

受け止めきれなかった雪は降り積もり、愛しさになる。
見渡す限り、真っ白な雪景色。
それはすべて、貴方の優しさと…愛しさ。

そう思うの。ふふっ、変かしら?


すっかり寒くなってしまいましたね、体調を崩していないか心配です。
風邪には気を付けて、ちゃんと休んで下さいね。

いつも想っています、
深い青緑の瞳の貴方へ。
3 青緑の軍師
そのノート、見覚えがあるのだが……俺の見間違いか?
……見間違いではないな。お前が苦労して買ってきたノートを間違えるはずがない。

気付いたのは少し前だ。
お前が綴る言葉に、俺の言葉を重ねても良いのか迷った。
しかし、今はなかなか会えない身だ。
少しでもお前と言葉を交わせるのなら、と思って言葉を残す。

……何だか、交換日記のようだな。

照れるか、笑うか、微笑むか。
俺に聞くまでもないだろう…?

…………お前の言葉が目の前にあるだけで、俺は幸せだ。


いつも、待たせてばかりですまない。
お前がいつ、いなくなるかと不安がないわけでもない。
なのに、会いに行けない、自分がもどかしくも思う。

俺はいつもお前を想っている。
愛している。

その気持ちだけは変わらない。


いや……変わって、いるのか。

時を重ねる度に、言葉交わす度に。
もっと、その想いは深くなる。


雪が俺の優しさか……似合わないだろう?
お前の方が似合う気がする。

だが……もし、俺に優しさがあって、それを雪とするのならば。
お前の優しさは、その雪を受け止める、大地だ。

雪はその大地にしか、降らない。
これからも受け止めてくれ。


お前も身体には気をつけるように。
きっと戻ったら、俺が暖めるから。
4 リリスレイア
……? 貴方、なの?
想いを書き留めようとノートを開いたら
書いた覚えのない、見覚えのある文字でページが埋め尽くされてるんだもの。
本当に、貴方なのね。
驚きました、貴方が帰ってくるまで言葉を交わせないものだと思っていたから…
凄く、嬉しい…です。

ふふ、こんなに早く見つかるなんて、思ってませんでした。
貴方に気付かれないように、大切な想いを綴ろうと思っていたのに。
もう少し、沢山書いておけば良かったかしら。


勿論、良いに決まってるじゃないですか。
貴方と、ほんの少しでも言葉を交わすだけで…私の心は充分過ぎる程、満たされるのですから。

ふふふ、本当に交換日記みたいね。
貴方との思い出が沢山詰まった、今までで一番大切なノートになりそう。
好きな時に書いて下さいね。

大丈夫よ、ずっと待っていますから。
待っている時間さえも愛しくて、大切なの。
想いは募るばかりだけれど、会えた時は一層、幸せな気持ちになるのよ。
貴方の存在があるかぎり、私も在り続けます。
これだけは、揺るがないから…だから、安心して下さい。

ありがとう、想ってくれて。
私もね、貴方を想う度に…仕草や表情、言葉を思い出す度に…貴方に、会う度に。
愛しさは増すばかり。
他の誰でもない貴方だけを……その、愛して、います。


貴方は、自分がどれだけ慈愛に満ちた心を持っているか、気付いてないの?
構わないわ、私が知っているから。

私が…大地?
ふふ、随分と大きいのね。
貴方を受け止められるのなら、なんだっていいわ。
優しさも、愛しさも、その全ての想いを受け止めるから。
この手に、大切に抱き締めるから。


それじゃあ、貴方が早く帰ってくるように外で待っていようかしら。
……ふふふっ、ごめんなさい。そんなことしないから安心して。
ねぇ、でも……貴方が居ないと手が冷たすぎて何も掴めないの。
貴方がそう言ってくれたように、私の両手も繋ぐのは貴方だけ。
帰って来たら、また手を繋いでもらっても…いいですか?

貴方の暖かい手が、優しい微笑みが
私の手を、心を…暖めてくれるのです。


ずっと、ずっと、いつまでも待っています。
愛しているわ、サイリ。
本当の名前は……帰って来たら呼びます。
でないと、想いが溢れてしまいそうだから。
少しでも、貴方の心が安らぐことを祈って―…。
5 リリスレイア
バレンタインに贈ったショコラ、もう全部食べてしまったのかしら。
あなたと離れて、どれくらい経ったのでしょう。
もう指だけでは数えられない程…遠征に出て、もう4ヶ月になるのかしら。
今回は随分と長いわ、体を壊したりしていない?ちゃんと食事はとってる?…今、どこにいるの?
何を思って、何をしているの?
あなたの姿が見えなくて、ふとした時間に思うのはそんなことばかり。


あのね、離れている分バレンタインのショコラに沢山想いを込めたのよ。
寒くならないように、風邪をひかないように、寂しくないように…好き、好き。他にも、沢山。
あなたの喜ぶ顔が見たかったけれど……受け取ってくれただけで充分よ。


時々ね、夢を見るの。
あなたが…優しく、私の名を呼ぶの。
それで目が覚めて、あなたが帰ってきたような気がして城中を探しまわるの。
でも…やっぱり、あなたは居なくて。
あんなに、あんなに……確かに、近くに聞こえるのに。
昨日とあなたとの距離は違わない。


言わない、言わないわ。
だって、言ってしまったら…あなたは謝るでしょう?
あなたも私と同じ思いだと聞いた時は、嬉しかったです。
私はあなたを信じています。どんなに時間が経ったって、あなたは必ず帰ってきてくれるから。
だからこそ、安心して待っていられるの。


もうすぐ春ですね。でも、あなたの心は春よりも暖かく…優しいのです。

帰りは急がなくても大丈夫ですからね。私はずっと待っていますから。
―…愛しています、サイリ。
6 金糸雀姫
ふふっ、今日は記念日ね。
こんなに長い間あなたと一緒に居られて、とても幸せだわ。
会える時間は少ないけれど、それでも待っていられるのは…愛しくて、信じているから。


改めて言うのもなんですが、その…ありがとう。
きっとね、あなたが居なければ私はこんなにも大事な、大切な気持ちを知らなかったと思うの。
あなたがすべて教えてくれました。


触れ合う暖かさや、

想いあう優しさ。

寂しさと、切なさ。

色褪せることのない恋心、

募る…愛しさ。


どんなに孤独な夜がきても、どんなに絶望に苛まれようとも、
あなたが居てくれるだけで明けない夜はないのです。

これからも、ずっと、ずっと…あなたの傍に居させてもらえますか?


もうすぐ、あなたの故郷の花の季節。

『桜』 … ― でしたよね。


帰って来たら、まだ咲いていたのなら…一緒に見に行きましょう。
あなたの故郷の服に身をつつみ、

そして……確かめて。
私は…散らないから。

この命は、あなたと共に。


世界で唯一無二の、愛しいあなたへ。
愛をこめて。
7 サイリ
記念日、とは随分と大袈裟だな……?
ただ、お前が何を思っていたのか知れた、という点では
俺にとっても実りの多い日だったと思う。

……すまない、何も気づいてやれなくて。
あまり泣くな、どうしたら良いかわからなくなる。
泣く前に頼れ。どうにかしてやれることもあるはずだ。

これからも待たせることが多い、だろうな。
その度にお前を不安にさせて、悲しみを覚えさせるともわかっている。
待たせ続けている間、あの花のように
お前は静かに消えていくのかもしれない……とも、思った。


だが、お前は散らない、消えない。
俺の傍に居てくれるんだな……?


桜色の布を用意して、お前に着物を作らせよう。
きっと似合うはずだ。
それを着て……そうだな、一緒に桜を見に行こう。


明けない夜はない。
だが、散らない花はすぐ目の前に……か。

幸せ者、だな……俺は。


会えずとも、俺の想いは伝わっていると信じているが……

――リリス、愛してる。
8 リリスレイア
ありがとう。あの時は、ごめんなさい。
あなたを想うと…どうしても言葉にできないの。
大切な、愛しいあなたを傷付けてしまうかもしれないと………怖くて、とても…怖くて。
私が弱いばかりに、あなたの優しさに甘えるばかりに。
手を差し伸べてくれて、ありがとう。


あなたを傷付けてしまうくらいなら、私1人で抱えていた方が良いと思ったの。
でも……でも、ごめんなさい。
きっと、その考えが間違いだった。気付いていないのは、きっと私の方。
どんな気持ちでも伝えるから。辛いこと、悲しいこと、楽しいこと、嬉しいこと……幸せな、こと。
ふふふっ、できれば幸せな気持ちを沢山伝えたいわ。きっとそれは、あなたの存在があるからこそ。


毎日、とても幸せよ。
たとえ手紙の数が少なくたって、一通一通にあなたの深い想いを感じることができるから。
あなたがくれた言葉、愛の数だけ、私に幸せをくれるの。
世界にはこんなにも沢山の人が居るのに、どうしてあなたなんでしょう。……いいえ、きっとあなたじゃなきゃダメなの。

あなたは言いましたね、もっと甘えても良いと。
なら…言ってもいいでしょうか?
この手を、離さないで。
もう私は迷ったって、あなたの手を離しません。優しいあなただから、私の為に身を引くのではなく…私の為に離さないで。
心に響く痛みさえ、零れる涙さえ、すべてあなたを愛している証なの。


好き……スキ、すき…あなたが。
すきよ、愛しい人。


…愛しています、サイリ。
9 リリスレイア
どうして、いつも気付くとこの日なのかしら。
ふふっ、また記念日……と言ったら、あなたは大袈裟だと笑うかしら?
でもね、とっても大切な日なの。
いいえ、あなたと過ごす毎日が……大切。

私も、あの頃に比べたら…欲張りになったわ。
あなたからお手紙が来ないだけで、こんなにも不安になるなんて。
あなたを信じて、ずっと待っているつもりでしたのに…。

もう、大人しく待ってるなんてしません。
だって、私にはあなたが必要で……好き、だもの。


ずっと、ずっと。

この絆が続く限り。

いいえ、いいえ、

この想いは永久に。


あなたは言ってくれました。
弱い私でも良いと。
我が儘になっても良いと。
あなたの声だけ聞いていれば良いと。

あなたを、ずっと好きでいて良いと…。

あなたじゃなくちゃ、ダメなの。
あなたじゃなくちゃ、私は唄えない。
あなたじゃなくちゃ、もう愛せない…。


好き、スキ…誰よりも、何よりも……好き。
ずっと愛しています、大切な人。

私はまだ子供だけど、必ず大人になって
あなたの隣りに並んでも恥ずかしくないように。
追い付いてみせるから。
待っていて。
躓きそうになったら、手をかして下さい。

愛しています、唯一の人。
大好きよ、愛しい人。
今宵は…どうか、夢で会えますように。


愛して、ます……サイリ。
10 リリスレイア
どうして、こんなことに。
そう、昔から。
ずっと私が幼い頃からあなたはそうだった。

自分の身を危険に曝してまで、私を護ろうとする。

真面目なのは知っているわ。
私を大切に想っていてくれていることも。
あなたは確かに私の護衛よ、だけど―……。
今は、とても大切な人。
最愛のかけがえのない唯一の人。


愛しているの
ずっと、ずっと

子供の頃から
あなただけを見ていた

あなたがいてくれれば、
他には何もいらないの


…… 好き、です 。


怖い、不安で堪らないの。
あなたは目覚めた、還ってきてくれた。

だけど。

傷だらけのあなたを見た時、心臓が止まるかと思った。
怖かった、あなたを失ってしまうんじゃないかと。

お願い、もう自分を犠牲になんてしないで。
あなたを失うことが、何より怖い。

あげるから。
命も、愛も、心も、大切なものも。
全部、あげるから。
早くあなたの傷が癒えるように、祈っているから。
あなたの為なら、声が枯れるまで謳うから。

もう、離れないから。
ずっと傍にいるから。


愛しています。

愛してる…

愛しているの、サイリ。

次に会える時は、あなたの笑顔が見れますように。