Write
1 大罪人

医者見習い

何て言ったら良いんだか…よく分からねェってのが本音だけどさァ。

どォしてくれんだ?
何晒してくれてんだよ、お前。
顔から火ィ出たろーが…全く。

志乃。
お前もっと自信持ったらどうだ。
俺ァ一度だって、お前と逢ったのを後悔した事なんてねェ。
まだ何も返せてないってのに、忘れる訳ねェだろう。


…しかし、俺の鳩もお前の鳩も、何処かで撃ち落とされでもしちゃったのかねェ…?
今年、お前に鳩飛ばした筈なんだけど。


あァ、まぁいいや。
また話せるのを願ってるぜ。
2 大罪人
つーかお前なァ…勝手にすっきりしてんじゃねェよ!
こちとら去年から悶々としてんだ。お前だけ足洗うなんてズルいだろうが。


…と、これだけは言いたかった。自分勝手で恰好は悪いが、解っておくんなァ。
俺ァお前、気に入ってんだよ。
3 医者見習い
宣言してからお返事書くのも、変な感じですけど。
お言葉頂いたら、きちんと返さなくっちゃ駄目ですよね?大人としては。

別に晒したかったわけじゃなくて……でも、どうしても言いたくなっちゃって。
でも、清十郎さんが照れるなんて珍しいですね?それだけでも、お喋りした甲斐が有りました。(笑)

……自分に自信は無いですよ、ええそれはもう、全く。だって、清十郎さんに嫌われたくないですから。
色んなことぐるぐる考えちゃって、我慢しちゃって。
……でも清十郎さんがそう言ってくださるなら、少し、もう少し位は我儘、言ってしまいましょうか。
少なくとも……忘れられて黙って捨てられる事は無い、って其れ位は、信じてもいいですか?

そうそう、大事なこともいい忘れてました。
あけまして、おめでとうございます!今年も清十郎さんにとって、良い年でありますように!

あ、一つ、自分に自信を持って言える事が有りました。
……大好きですよ、清十郎さん。
……面と向かって言わないのは、ずるかな。
4 清十郎
久々に…ちと。
気が向いたと言うか何と言うか。たまにゃァ此処も使ってやらねぇと、せっかくの場所が勿体無くてね。
まァ気付いても気付かなくても、聞き流しておくんな。


最近また忙しなくてねェ。自分で自分の文を眺めちゃ、駄文に頭抱えるシマツよ。もーちょいと、丁寧な文を送ってやりてんだがな。
今年の始めにまみえられたのは良いが、しかし時間の経つのは早いもんだ。まだ二月だが、桜ァ咲く頃になったら花見でもしよう。それまでは熱燗でもつけて……って発言がオッサン通り越してジジィみてェだな。

とりあえず、まだ、お前とやりたい事が沢山あるんだから、自分自身に呆れて、困っちまうよねェ…おっと、やらしい意味じゃァないよ。


こんなもんかね。
俺には面と向かって話せない方が難しいらしい。
いつかお前に伝えたい想いは、それまで大事に暖めとくよ、志乃。
5 志乃
う…また見つけるのが遅くなりました。……うーん、悔しい。
此処は真っ直ぐお喋りする、というよりは面と向かっては言い難いことをこっそり書いておく場所なんですよね?便利で感動してしまいました。
なので、これはお返事じゃありません。私の勝手な言い分です、はい。

忙しいうちが華ですもの、悩むことなんてありませんよ。
待つのは苦じゃないんです、だって、待ってるってことは、清十郎さんが帰ってきてくれるってことですから。
文の良し悪しは二の次で、お話できるだけで幸せです。むしろ、私のほうばっかり話を焦っちゃってる気が……しないでもなくてですね、ええと、すみません。なんだか楽しくて。

一緒にお花見するの、楽しみにしています。お酌は私でも構いませんか?といっても、選択肢はあと、手酌しか残ってませんけど。

お花や甘味を贈る日が近いそうで、私は西洋菓子は作れませんが、気持ちだけ、一足先に此処に置いておきます。お団子なら作れるんですけどね。

待つのは得意です。
けど、その分色んなものがいっぱいいっぱい、溜まってますから、一つずつ貰っていって下さいね?こればっかりは、返品は利きませんのでご了承くださいませ、なーんて。
6 志乃
清十郎さん。ふっと、思ったんですけど。

私達が何時はじめまして、したか覚えてらっしゃいますか?
私は医者のくせに、どうもそういう数字を覚えるのが苦手で……はっきりとは、思い出せないんですけど。
でも、冬の日だったって事は、覚えてます。

ということは、もう一年以上も?一年近くも?
兎に角、そんなに長く一緒にいるんですね。

正しい記念日覚えてないくせに、って笑わないでくださいね。
唐突にふと、凄いなぁと思ったんです。
折角だから今日は二人で何何した、なんとかの記念日何週間目!とか、やってみたいんですけど、そういう甲斐性が無くてすみません。

だけど、これ位曖昧の方がらしくていい気もしませんか?
紆余曲折有りましたけど、ふんわりのんびり、此れからもお付き合いいただけたら、幸いです。

思いついたその日が記念日、というのを思い付いたので、そんな独り言です。
7 清十郎
ほれ、やっぱり俺の方が隠れん坊、上手。…まぁ前回の分も、今みっけたから合い子かねェ。

西洋菓子はかすていらしか食った事ねェけど、ありゃもそもそして食いにくい。俺ァ団子の方が好きだぜ。

お前からなら幾らでも貰ってやるよ。──こいつァ…らしくねェ台詞だ。笑っておくんな。笑ってくれた方が気楽だわ(笑)


…で、悪ィな、俺ァいつ、お前と出逢ったか覚えてるぜ。多分正確に。
でも教えてやんないよ。性悪だろ?(笑)
拗ねられちゃ嫌だし、とりあえず、丸一年はとっくに過ぎてる。とだけ教えとこうかねェ。

覚えてるクセに記念日だの何だのと祝わないんだから、俺のがよっぽど甲斐性なしだな。


もし、またその日を迎えられたら、教えてやるよ。


これからも宜しく。
8 志乃
悔しいからお返事遅らせてやる!なんて子供みたいなこと思ってたんですけど…
今読み返しても、やっぱり悔しいです。ずるいです!色々と……ずるですよ、そんなの。

もうすぐ雛祭りですね。お団子、作りましょうか。雛霰のほうがいいかしら?
いい大人が浮き足立つな、って笑われそうですけど、女の子はいつだってお雛様に憧れるものなんですよ。
…清十郎さんはお内裏様というよりは、右大臣の格好のほうが似合いそうですね。

丸一年の記念日は逃しちゃいましたし、清十郎さんが意地悪なので…
二年目を、大人しく待つことにします。
まあ、記念日その日よりもそれを待つ時間のほうが、楽しいように思うのでいい、ということにして。

清十郎さんが甲斐性無しなのは知ってます(笑)
でも、私もですから、きっとそれくらいで丁度いいんだと思いますよ。

笑って言葉を交わせるなら、それだけで。
9 清十郎
良い度胸じゃァねぇか、わざと返事しなかったとは。ずるいとはよォく言われたもんだが、いやァ、志乃に言われちゃっちゃ、ねェ(笑)

雛祭りも終わっちまったけど、まぁお前、貰い手つかなかったら俺んとこに来なよ、なぁんて。

さて。
何か特別に言うことあったっけなァ。
…特にねェかな。

ただ、神仏なんざ信じちゃァいないけど…祈るよ。
これから先、お前が楽しいと思うのを。お前が笑うのを、祈る。

ほいじゃ、また。
10 志乃
一月振り。つい倉庫の方から引っくり返してきてしまいました。

桜も咲き始めましたね。
そういえば清十郎さんて、お酒強いのかしら?私はお屠蘇とお神酒くらいしか飲んだことないんですけど。

貰い手云々は…その、ええと………か、軽々しく言わないで下さい。
一大事なんですからね!女性にとっては!
清十郎さんきっと犬か猫でも拾うみたいな心持なんでしょう。…だから、まだ拾われてあげません。

私を笑わせたいなら、神様も菩薩様も必要ありませんよ。
お祈り、お願いするんでしたらもっと大事なことお願いしてください。
隣に清十郎さんがいたら、私は笑えますから。
…私も清十郎さんを笑わせられたらいいんですけど。精進します。

精進しますから……だから早く会いに来てくださいね。
なんて…あ!いや!その、私のが遅れてますし急かしている訳では決してなくて…!
ただそのえーっと…会いたいですよ、って忙しくてもいつも思ってます、ということ、です。はい。
11 清十郎
久方振りだな。俺も引っ張り出して来ちまった。

悪いねェ、まァた、背後の奴の余裕がねェもんだから。ここんとこお前の事、待たせっぱなしで──いや、全っ然背後は元気だから心配ねェんだけどな(笑)

ふふ、猫だろーが犬だろーが、何だって良いだろうが。
俺がお前の事気に入った、それだけじゃァ理由にはならねェかな。流石に。


ん、何てェか……逢いたい。本当はなァお前、逢って、気が済むまで抱き締めたい。──なァんて言ったら、叱られるかねェ。

ま、いつでも待ってるからよ。ゆっくり来な。
12 志乃
ああ、良かった、倉庫に戻ってしまう前に見つけられて。
……それでも十二分に遅いんですけど。ご、ごめんなさい。

清十郎さんが謝る事なんてひとっつもありませんよ!
というか、此方こそ……ああもう、みっともない。
本当は余裕の顔して、清十郎さんをいつも待ってる側で居たいんですけど……偶に、そうも行かなくって。悔しいです。

あ、でも!なんだってよくありませんよ!
幾ら私でも流石に……ちょっと位は、その、夢をですね、抱いてるんですよ。そういうことには。
これでも、女ですから。

ええと、その、それで……だ、抱き締めるとか…………手!て、手をですね…繋ぐんでも、いいですか。
清十郎さんに触れてみたいとは、私もいつも思ってるんです、よ。


……な、なんか纏まらない文章になっちゃった…。
えっとその、大遅刻していて言えた口ではないんですが…清十郎さん、ゆっくりでいいので、此れからも宜しくお願いしますね。