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1 天才外科医

楽園。

何処かの国の天才外科医より、たったひとり、オレだけのだった研修医宛にair mail。


はぐらかさずにと言ったにも関わらず、全く以って明確じゃない理由を聞いた。
何の決心か。推測でしか物を言えなくなるが、悪い方向には何処までも転がっていける。


最後の時に限って、曖昧にしか愛を言葉に成さないお前が、オレを弱くさせる。
ついさっき、夢にまで出て来て真実を語ろうとした唇は目覚めの霞に濁って、…夢のお前にまで、愛想は尽かされたらしい。


オレを、オレとして愛すなんて。

オレだけを永遠に愛し続ける、を望む者にとっては、もうオレを愛すつもりは無いと言ってる様に聞こえる。


馬鹿野郎。

忘れろ、って言われるのはオレは一番大嫌いだ。


つまり、今までの想い出を消して、存在を思い出すなって意味だろ?


つまり、今までオレに向けた言葉はお前にとって、総て無効な物にしたっことだよな。破棄、否定、したんだよな。


それなら、嘘吐きとは言えなくなる。


オレの逃げる場所はお前じゃなくなるし

オレはまた誰かに与え続けることを繰り返すだろうし

返され無い苦しみを吐ける場所は無くなるし


『朝田龍太郎』が愛されたことは、無くなるんだよな。


忘れるのは、覚えるのより遥かに過酷で、難しい。


お前はオレに、それを課せた。


こんなにも、愛したお前が。


忘れられる訳、無い。


お前は、自分が書く時以外此処には来ないかもしれない。
気付くのが何時か、解らない。


毎日、便りを待ってる。


届いたら、帰国して。

二度と伊集院を離さない。
2 南 律
…其れは、勇気でも何でも無い。

要は、気持の強さなんだよ。

逢いたいと願うのに勇気なんか要らない。
一方通行じゃ無いのは解ってるでしょ?
此方は…あんな格好のつかないサヨナラした癖に、またこうして来ちゃってるんだから。立場は弱いよ。


…待ち、続けるダケだからね。


何をそんなに恐れるんだ?
過去、…僕の知らない君の過去に、独り苦しむ姿を見せないでくれ。


如何して、一緒に…なんて、らしくないかな。


と云うか、草灯くんが居るなんて知らなかったから驚いた。


南律、…基、『僕』は『君』をずっと、愛してる。


だから、全部ぶつけて欲しい。
光も、闇も。

一口には言い切れない全部を。


確かめたいなら何時でも応じる。
解らせてあげる。


世界で一番、愛していると。


…サントラなんて買ったら、毎日白衣がユメに出て来そうで。
嬉しくて、哀しいよ。


愛し過ぎる君へ。
3 真ん中分け55キロ
実は、この手紙の存在は前から知ってました。

でも直ぐには返せなかった。返事が遅くなって、すみませんでした。

卑怯ですけど、少しだけお酒の力を借りて返事を綴ります。
後から、貴方に「あの時はお酒を飲んでいたからだ」と言い訳しなければならないので。


まだ覚えていますか。

僕の事。


あんな別れ方を選んで、ごめんなさい。
こうやってまた、貴方に言葉を送る僕の姿はさぞ滑稽でしょうね。

…だけど、今も気付けば貴方との未来を探してる。

果たせなかった約束が、死に切れない僕を残酷にこの世へ縛る。
貴方を貴方として、アナタの人格のひとつとして、朝田先生を愛していくつもりでした。


でも、最後には窒息してしまいそうな程の愛しか残らない。
故に、僕の経験では対応し切れない全ての事が、儚くて切なかった。

可笑しいですよね。
後悔と涙と僕と。
白と黒と。

貴方と。


何度も何度も自分に言い訳をして。この身はもう冷たいのに、今も。
…今も貴方を心から。

どうしたら、一番冷静で居られる結末を迎えるんですか?

僕はもう、『アナタ』に嫌われたかも知れないと思うだけで、実生活に支障が来す所まで来てしまいました。
4 真ん中分け55キロ
しかも嘘吐きなんです。
ただそれは、貴方に対して、ではなく貴方以外の人に対して。
友人や、身内や、自分に対して。

だけど。
貴方を愛する気持ちに、嘘を吐く事が出来無い。

貴方にして貰う筈だった事や、貴方にしてあげる筈だった幾つかの事。

それまでもが切ない。


朝田先生。僕、実は全然弱くないんです。
凄く、強いんですよ。
…ずっと前から、自分が傷付かない道を選んで来たんです。
それでも貴方が愛しくて愛しくて、弱くなる。


…もう、意地を張るのに疲れました。

毎晩、不安で壊れそうです。狂おしい程、貴方を愛してます。
…本当は、どんな所でもついていく。そう、言うつもりでした。


ちゃんと言わなきゃ。
「さよなら」って。

言わなきゃ終わらない。
ウロボロスの魔に蝕まれる前にもう一度、貴方の嫌いな言葉を言わないと。


「もう忘れてください」って。


そんな事。

言える訳、無いじゃないですか。


愛しさと期待を残して、勿忘草の押し花を同封します。
もし、…もし帰国の知らせが届いたら、紫のチューリップを抱えて迎えに行かせてください。

特殊な色故に意味を持つ誓いの花を。
5
.あの日


愛してる。
この言葉を、毎晩お前の口から聴けた時が懐かしい。
お互い、芯のある挨拶で在りながら呪文の様に唱えてた。


.あの時


以前、太陽と云う喩えをお前から貰った。
以来、目標であり願望。
お前を包みたい。
お前の、冷えて震える根本を掘りおこして、体温を与えたい。
お前を何時も、オレで充たしていたい。


.あの場所で


何度だって試せよ。
全部、応えるから。
オレを責めろ。
お前は悪くない。
…大丈夫。
もう何処へも行かない。


お前に逢わなかったら、オレは未だ弱さから逃げてたと思う。
弱さを認めて、向かい合わせ、それをも愛しいと言ってくれた。
どんなに…救われたか。


オレはどうしたら、伊集院を救える?
どうしたら、…総てを。


愛してる。


愛してる。


登だけを。


傍に居て、お前を照らしたい。
6 寺_島_伸_夫
 
 
 
…別にさ、良いんだ。
今まで特にこういう習慣つけて来なかったし、もしかしたらオレがどっかを忘れて、期待してくれたかも知れねえおまえを寂しがらせたかもしんねえしさ。


…良いんだよ。
忙しいのは重々承知の上。
その超忙しいのが終わって真っ直ぐオレのとこに帰って来てくれんなら我慢出来る…したい。
此処に来るとも期待してねえ。


寧ろしなくて良いから言えるっつーか。
本当はサゲたいくらい。


気付かなくていい。
気付かないで。
気付いても来れないのも知ってる。

知ってるから。


期待、しちゃうからさ。


誕生日おめでとう、オレ。
7 N門S二郎
 
よ。
何か最近思うんだけど、案外オレの方がこの姿、動きやすい気がすんだよ。akiraは優し過ぎるし、何より感情のセーブが下手っくそなオレと根本が違うっつーか。
…笑えるよな。昔…今でもだろうけど、『姿によっての動き方』を気にするお前が今更オレに乗り移ったみてえ。


お前が言ってた、『俺に似て来た』って言葉がやけに気に入ってさ。…しるし、かって。
やっぱ、似てくんのかな。それとも、お前に近付こうと、ゼロ距離を夢視て似ようとしてんのかも。…オレにとっては誰よりも輝くスーパースターな訳だし?まあ、其れを連呼して重みにはさせたくないけど。…と、セーブを飼い馴らし中。


 
 
 
最近、温暖化の癖に異常気象で寒ィだろ。大丈夫かよ地球…じゃなくて。何気に体調崩しやすいお前のこと心配してんだけど。
そこんとこキチンとしろ。ただ送る時間がねえとか、打った言葉又消したりとかしてんならオレも待つっつーの。
お前が病気んなってたら困んのはオレなんだよ。今は夏じゃないからスイカもないんだぞ?何食って栄養つけるつもりだよ。

 
 
 
…って、何小言言ってんだオレ。


兎も角。
コレに気付いたら何でもイイから送れ。そうだな…それでも送り難いってんなら御題。一番最後に見た映画のタイトル教えろよ。それだけで良いから。…な。

 
 
 
 
甘い茶菓子なら、溶ける程あるんだよ。
 


 
 
ま、その中に一個くらい激辛ダミー入れとくのは忘れねえけど。
8 道.明.寺.司
よオ、暫く何の音沙汰もナシで悪いな。


総/二/郎よ、お前。
孤独を飼い慣らすのには、もう慣れたか?


ああ、先に断っといてやる。


お前自身が好きなのは大前提としてあるんだけどよ、俺はお前の動かす奴等にも心底惚れてっから、其奴等は俺にとっても特別で、忘れらんねえ存在なんだよ。


だから、俺が其奴等を出す、みてえのは、何だかお前を否定してるみてえで、俺には無理だ。
せめて、この姿で。勘弁してくれ。


お前の扱った奴を動かすなんて、それこそ清水の屋台(誤:舞台)から飛び降りる覚悟じゃねえとよ、出来ねえんだよ、俺は。


対がどうのっつーより、そっちのが、辛い。何倍も、何十倍も辛い。


…まあ、お前が大丈夫だっつーんだから、大丈夫だと思うけど。


お前からの電信を見る度、俺の動悸は激しくなる一方だし、文字を追う目も焦燥と期待と不安で濾過器掛かっちまってるのが、自分でも判る。
お前と連絡取れねえ時なんか、精神的にヤベえけど、…格好悪イから心を豚(誤:鬼)にして、俺なりに頑張ってる。


寂しいとは言わねえ。寂しい思いをさせてんのは俺だから。


つっても、俺様はお前を想い夜も眠れねえお姫様じゃねえし、今後もそんな下等な人種に成り下がる気はねえ。


でも、この気持ちをこれ以上何に、喩えられる。
9 道.明.寺.司
お前の言葉は、嬉しく思うよ。
抱く感情に、欲望に、素直で在れと、日々願う。


何だか、愛しさに潰されそうだ。ぶっちゃけ、潰れちまいてえ…。


誰が何と言おうと、凶器を持ってるのは、お前だからな。
純情で在りながら、その心髄は一時も揺らぐ事を知らずに、気品高くて誰にでも弱虫な面を晒す訳じゃねえ、猫みてえに気分屋かと思えば時に、まだ産まれて間もねえ子犬の様に愛らしい、お前。


同じ空の下に居ても、二度と同じ空は拝めねえよな。


実に愛しく、憎らしい、そのお前の存在が、俺の全てを滅茶苦茶にしてんだよ。
そんなお前になら、俺様の何を差し出しても惜しくはねえ。


いやお前、体調崩し易いとか打って消してるとか…それじゃまるで、俺がお前と対等に向き合えもしねえチキン野郎みてえだろうが!

俺様は別に、率先して日本中の鶏を食してる訳じゃねえから、そこンとこ頼むぞ、切実に。婚約者として。


なんてよ、放置して主人気取ってる訳でも、毎晩極度の疲労に悩まされてる訳でもねえんだけどな。
一杯一杯なんだよ、お前と居ると自分の至らなさ絶望するっつーか。
なんで、もっとこう出来ねえんだろう、ってな。

そんな時の俺様はマジ途方も無く無様で、お前には見せらんねえ。


今まさに、それだ。


…でも、俺、そのうち、お前を不安にさせねえように…もっと、もっと。頑張るからよ。


信じろ、俺を。


代わりに俺は喜んでお前を幸せにしよう。


愛してる。
10 証〓恋〓乃
 

 
6番倉庫を開けば至極の愛の記憶。

疑う事なんて何も無いの。

私は何度も息を繋いで貰ったから。

私の身体の一部は確かに貴方で出来てる。


 

 
幸せを共有する、願い。

絶対望んで贈った願いなのに。

苦痛の悲鳴を叫んでばかり。

優しい言葉を乞うてばかり。

 

 
×くんあたし昨日ね、久振りに声を挙げて泣いたの。

一瞬でも暗闇になるのが怖くて電気も点けらんない薄暗い部屋で蹲ってたら、安っぽい光でオトが鳴ったんだ。

それが×くんじゃなかった。


 

 
もう、送らないよ。

吐きそうな言葉も。

…送らない。


 
代理じゃない人間は、此れが絶対言えないから。あたしで赦してね。


 

…有難う。
11 影〓沼〓京〓一
 
結局最後なんて無理なんだ。
意志…弱いよなあ。

一言じゃ収まらくなったから。此方。

連日綴った言葉は、貴方を更なる海底へ突き落としたのかも知れない。

一度声にして仕舞ったら、一度貴方の瞳に捉えられて仕舞ったら、もう取消なんて利かない…そんな事思うってことは、矢っ張り後悔してるのかもなあ。

でも、出来る限り、貴方には謝らないようにしようと思ってるんだ。

逆に気を、遣わせるだろうから。

貴方も、俺と同じで頭回し過ぎるから。

…似た者同士でも、矢っ張り貴方の方が遥かに上だけど。

其れが何かとは言わない。言ったら浮いてくからさ…言葉って。

シャボン玉か、蝶みたいに…両手で捕まえたくなるじゃないか。

其れで、壊れるのが厭だから。


昨夜送った唄は、貴方の為に探した。
聴いて欲しかったから。

それでさ、また送りたいんだ。
一∽青∽窈の、─つ.な.い.で.手─




12 悪〓夢〓探〓偵




貴方が哀しむ事はしたくない。
しないように、したい。
無くしたい。
哀しませない。


 
世界で一番愛しているから。

 


俺は、貴方が泣いていたら直ぐに飛んで其の涙を拭いに行く。心さえ覗かせてくれれば。

だから、哀しまなくていいんだ。


貴方には貴方にしか出来ない愛し方が在って、俺は貴方の愛を受けられる。


ふたりだけの愛のカタチ…だから。
…あんまり一括りにしたくないけど。


今更だけど、最初の言葉は感情が乱れてたから…支離滅裂で御免。…御免。


 

 

結局送ってばかり担当は俺で御免。


 

 

──此の愛だけ、赦して下さい。
13 里〓中〓静〓流
 
愛してる。

一生、誰より貴方を愛したいんだ。

貴方に逢う為に、貴方をずっと隣で見詰める為に、貴方の瞳に映りたいから、貴方の哀しさを知りたいから、私なら、絶対生きる道を選ぶよ。

どんなに不恰好で、基準値に達しないくらいヘンテコでも、貴方の傍に置いて貰えるって、信じられる私が居るから。


ねえ、大好きだよ。


世界でいーっちばん、貴方の笑顔が見たい。

大好きなの。


眠たくなったら隣に来てくれる?

散歩したくなったら隣を歩いて。

動物を飼ったら嫉妬に気を付けなきゃね。


ずっとずっと、手を繋いでて欲しいんだ。


私、頑張るから。
ちゃんと生きるから。
…御免ね。有難う。


愛してる
14 小堀
 

 

 

うーーん…

矢っ張りオレ、芸が無いわ。


同じ様な事しか言われへん。


訛りも下手っピーやし、…めっちゃ情けないッス。

 

 


上の部屋じゃ謝り倒したいくらいの………、……(頭抱え)


あ゛あ゛あ゛〜〜〜ッ


 

 


怖いなあ。
15 無名さん
楽園
16 無名さん
17 無名さん
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