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31 無名さん
「雨のち海豹」か
(甲板に座り、小さな声で呟く。
先程までここ、新世界の海は激しい
豪雨に見舞われていた。
「このままでは洗濯物は干せない
な、困ったな、もう数日分溜まって
いるんだが」と不安に思っている
と、いきなり空を覆っていた灰色の
響が割れ、太陽と.....胴体の長い、胡
麻斑海豹のような生き物が顔を覗か
せた。
あれは海王類の一種だろうか?唐突な
未知との遭遇に思わず困感してしま
ったが、その昔酒に酔ったボスから
聞いた、新世界の大変珍しい現象を
思い出した。
確かそこにも「雨のち海約」と覆ら
れていた気がする)
まさかお目にかかれるとはな、今
日はいい日になりモうだ
(空に舞うそれを眺めながら、小さく
しみを零した)