52 無名さん
(腹は満たされたばかりの5限、そしてこの窓際の席に贅沢に注ぐ、午後の陽光。秋になり気温は下がってきたとは言え、閉めきった窓からはキツすぎない陽が差し込んで適度に暖かく、加えて退屈で眠気を誘う古典の授業とくればもう、瞼が重たく感じてしまうのも仕方あるまい。しかしあのぼそぼそ喋りの教師は中々に陰湿で、授業中の居眠りなど発見しようものなら、『恋』を題材にした自作の短歌を宿題に出し、みんなの前で披露させる罰を課したりしやがるから、うかうか居眠りも出来やしない。机に頬杖着いて、欠伸を噛み殺す。眠気を払うように、一度意図的に強く目を閉じて、また開き。ふと、窓から見えるグラウンドに視線を向けた目に、明らかに場違いなな犬の姿を捕らえ、思わず二度見して)…ちょ、いぬ…!?(先程までの眠気すらも失せて瞬時に我に帰るも、時既に遅し。恐る恐る、ゆっくりと振り返れば、クラス中の目が、何より古典教師の冷たい視線が、我が身一身に注がれていた)
校庭に迷い犬いたらテンション上がるよねって言う
校庭に迷い犬いたらテンション上がるよねって言う