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1 白衣の真面目な勤め人

上司へ

直接送るのは怖いから、此処で伝えさせてもらいます。特に返事を期待する訳でもないんスけど。


ずるい。
なんなんだ、アンタは。なんでそんなこと言うんだ、今更。
信じられる訳なんかない。この、馬鹿巻き毛…っ。そうやっていつもいつもオレを掻き乱して…!


……もう好きなのか嫌いなのかもわからない。ただ、戻りたくはないと思う。
とっくに思い出にしたつもりだったのにアンタの言葉見て目から水出るんスけど。なんなんだ、畜生。


オレには大事な人が二人います。アンタに対するような感情で大事だ、と言ってるんじゃない。どちらも友達に近い関係の、かけがえのない人。アンタと違って律儀で優しい。
……どうしてアンタにばかり惹かれていたんでしょうね。彼等はアンタと離れる前から付き合いがあったのに。


あー…二度と話しかけないって決めた筈が…馬鹿かオレは。


お願いだから、幸せになって下さい。
直ぐじゃなくていい。もっとずっと先でいいから。一人きりでいないで下さい。
罰なんか、オレは望んじゃいない。

オレにした事を二度と繰り返さないで、大事な人をただ大事にして、笑っていて下さいよ。


ねえ、室長…。
5 我儘室長
さよなら
有難う
ごめんね

これ以上言い表せる言葉は見つからないからこれだけで。
6 我侭室長
季節は巡り。

まあキミはもう見てないだろうし、見ていたとしてスルーしてくれればいいから、言葉を残すのを許してほしい。

あれから時間が経って…っていうほど経ってないのかな?ボクの好きだったあの歌手の曲をまた聴くようになって。色んな人と出会ってお別れして。

色んなことが見えてきたんだよね。もちろんそれは思い上がりかもしれないけれど。

ボクはキミが好きだった。いや、今でも好きだよ。ただあの頃のボクは好きだから傷付けたかったし苦しめたかった。確かめたかった。ずっと追ってきてくれると信じたかったんだろうね。今はそれがどんなにキミを悩ませて苦しめて追い詰めていたか分かるようになった。

ボクはキミが好きだよ。昔も今もこれからも。

キミのいう「幸せ」があるとしたらきっとこの感情なんだろう。だって今になってやっと、ボクはキミを心から愛せるんだから。
キミが望んでいた答え…他の誰かに作っていない笑顔を向けること、は残念ながら出来そうにないけれど、やっとボクは幸せになりました。こうして今もキミを好きでいられて。思い出の中のキミがほんの一瞬でも笑うように、生きられるから。
それがとても嬉しいから。
大好き、リーバー君。
7 リーバー
とうに終わった恋を、こんなタイミングで思い返す事になるなんてな…あ、いや、こっちの話ですけど。

お久しぶりです。
出てくるのは本当に久々で、もうこの口調にも違和感を覚える程。此処にだってしばらく来てなかった。

幸せだと言うその裏に辛さが隠れてやしないかと疑っちまうのは、オレが心配症なだけなんスかね。

こっちにも色々な事がありました。
…もう、あの頃の激しさは思い出せません。
お互い、変わったんでしょう。

愛を返せないのに好かれるのはほんの少し苦しいですね。でも想いを強制的することはできないから何も言いません。
今なら、穏やかに話せるかもしれない。もう二度と恋慕うことはないでしょうけど。

通信ゴーレムの周波数は、変えていませんよ。アンタのものも消せずにいます。
そっちがどうなのかはわからないけど…アンタにまた、大事な人ができたら、あんなこともあったなって、思い出話でもしましょうか。

残酷な事をしているかもしれないのは百も承知。本来オレは自分の欲に素直で我が侭なんスよ(笑)
じゃあ。
8 コムイ・リー
うわ…びっくりした。
もうその一言だよ。
元気だった?

大丈夫、ボクは今は幸せだって言ったでしょう?…というより、ボクはあの頃から本当はきっと幸せだったんだよ。誰のことも考えなければ。

ああ、それも大丈夫。最初から愛を返すことを要求して書きこんだわけじゃないから。ただ気付いたことを書き連ねただけ。だって好きとか嫌いとかって相手に強要するものじゃないでしょ?

ボクは残念ながらちょっとした事故にあってね…ゴーレムは破損、データは木端微塵。あれ、こっぱみじん、ってこれであってたっけ?(笑)


まあそういうわけでボクは元気です。
我が侭なリーバー君もたまには可愛くていいんじゃない?(笑)