Write
1 紫水晶に恋した白猫

彼の岬で、オレはあんたに堕ちた…

あんたが此れを見つけるか解らない、見つけても見るか解らない、見ても言葉をくれるか解らない…けどオレは、言ノ葉を綴るよ。

あんたなら、オレが誰か解るはずだから…敢えて名前は紡がない。
あんたと離れて、どれくらい経ったかな…もう何年も経ったような気がする。
あんたから文が来なくなって、オレは宛先を変えた―…後悔しても遅い。

だから、最後の希望を託すことにしたんだ。
あんたと、また言葉を交わせる事を願って…。

白猫は、赤い織紐の鈴と紫水晶を…今でも大切に持ってるよ。
5 鈴を失った白猫
…最期に、言いたい事があったのに。

まぁ、自業自得か…。

けど…あんたが言う強いオレって、誰の事なんだろう…気になって仕方がないよ。
オレは…あんたしか知らないのに。


有り難う…幸せだったよ。
6 紅月秘める白猫を愛す者
─…そろそろ、涙も枯れた頃、か?

クッ……人を疑う事ばかりを繰り返し、自分の事は棚に上げたか。俺への疑いは全てお前の思い過ごし…濡れ衣だったが、お前は違って居た事を…忘れた、らしいな。

俺が幾つ…お前のして来た事を許したと思う…?
贖罪をお前に課す気は無いが─…まあ、許されたと知った時点で忘れ去って、その様な言葉を吐くなら…お前は強いさ。

否……俺では力不足、だろう。
我が身至らず、お前を満たせずにすまなかったな…?


逃げるばかりを追うのも、些か疲れた…


ああ…子は、お前程の身丈に育つ日も近そうだが…どうする?お前が…欲しいと口にした子、そして身勝手に放り捨て俺を求めたんだったな…。
架空の話とは言え無責任に命を放る、か─…?

まあ、所詮は作り話、か。


もう…お前の中の未練など消えただろう、俺はこの一言の後、霧中を彷徨うさ。楽しかったぜ……じゃあな。
7 鈴を失った白猫
―…涙って、どれだけ流しても…枯れてはくれないんだ。

解ってる…オレが全部悪いんだ、感情に任せて一喜一憂して…あんたを信じる事が出来なくなっていた、オレが全部悪い。今更反省したって遅いけど、ね…。

ただ一つ…あんたの言う意味が解らない。
あんたの事が濡れ衣だったのは申し訳ないって思う、けど…オレのが、違う?何の事だよ、オレ…意味が解らないよ。

子…そう、だね。今更オレがどんな面向ければいいか…なんて、喩え架空でも…愛してる、あんたと愛し合った証だから。
オレが育てていいなら、独りで育てるよ…。あんたの手を、煩わせる訳にはいかないからね。

彷徨うあんたに手を伸ばしたって、手は届かないんだろう?
―…だから、オレはずっと此処に居るよ。
8 鈴を失った白猫
―……思い出した、あんたの言ってる意味が…やっと解った。

もう、弁解も出来ないよ…過去は変えられない、オレは悔いる事しか出来ない。
ただ…あんた以外の奴に、オレの心の穴は埋められなかった。これだけは、信じて欲しい…なんて、もう無理だよな。

今まで、本当にごめん…。