Write
1 Swords

宛てない手紙。

――もう、こんな時間か…。
書いては丸めて捨てて、書いては丸めて捨てて。
ゴミ箱から紙屑が溢れてるんだけど。
これ全部、僕が片付けなきゃならないわけ?
しかも燃えるゴミって今日じゃないか。
寝てないのに、これからやれって事?

……もういい。
詩を書くわけでもないし、今は上司でも何でもないんだから、
言葉なんか飾らなくたっていいだろ。


頭が痛くなるくらい君の事を考えてる。
どうしたら君を傷付けずに、これだけの気持ちを伝えられるのか、
こんなにずっと考えてるってのに、一向に答えが出ない。
ほぼ毎日一緒に居るのに、全然伝え切れてない。
今だって苦しい。涙が出そうになるくらい、苦しい時だってある。
だからって離れたいなんて思えないし、離れる気なんかない。
もしかしたら、この気持ちが全部君に伝わったって、
苦しくなくなったりはしないのかも知れない。
それでも別に、君にどうにかして欲しいわけじゃなくて
ただ、

ただ…、君に…会えて、声が聞けたら、

ほんの少し触れてくれたら、それで十分過ぎるくらい、
満たされる…し、嬉しいと…、思う…。


……少しは、落ち着けた気がする。
紙とインクと時間を消費した甲斐は、あったかもね…。

この名前なら、分かる可能性の方が低いんじゃない?
気付かなくてもいいし、万が一気付いたとしても、
気付かなかった事にしたっていいよ。

気が済んだから、僕はもう寝る。
じゃあね、おやすみ…。
38 sickle
まだ、頭が痛い。
お前の声が聞けたらなぁ、なんて、
少しだけ思ってみたりして。
39 Swords
…一体どうしたのさ。
心当たりはないわけ?
ちゃんと回復に専念してるのかい?
暖かくしてるなら良いけど…食事もしっかり食べないと、治るものも治らないよ。
苦い薬も、見ない振りしてないでちゃんと飲む事。
文句を言ったら、僕がその口に突っ込んでやる。
あとは寝てれば?
それが一番…、
………。

…――さっさと治せ。
君が治るまでは、僕まで……その、色々と、我慢しなきゃならないんだから。


じゃあ、会えたら…夜に。
40 Swords
ほんの数時間前に…、なのに、

今、君の声が聞きたい。

……我儘にも程があるって?
本気で叶うと思ってるわけじゃないから、放っといてよ。

言わせて…おいて。
此処でだけ。
41 sickle
お前…念力で人を起こせると思ったら大間違…ZZZ


数時間前とか関係なく、いつだって声を聞きたいと思ってる。