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1 石田三成

大事な花

――俺が大事にしているのは、烏賊ではなく花だ。それもこの世に一輪しかない、枯れぬ花のみ。
いい加減理解しろ、そこまで頭の悪いクズではあるまい?

ついでに言うと、俺はツンデレでもなければあの者達に負ける程弱くもない。
故に怪我の心配など余計な世話だ。

…初回から文句ばかりというのも気持ちの良いものではないな。仕方がないから一言付け足しておく。

――愛している。
9 石田三成
――…不意打ち、にも程がある。

もし空けられる日時があるのなら、いつでも連絡を寄越せば良い。都合さえつけば抱き締めに行く。

逢瀬の時間は取れないもののただ逢いたい気持ちを伝えたかった、というなれば素直に受け取っておく。
それから、俺も同じ気持ちであると告げておこう。
10 立花ギン千代
先日は遅くまで共に居てくれて感謝する。
逢瀬を先に乞うたのは立花故、最後までけして意識を飛ばすまいと思うていたのだが…相変わらず進歩がなかった、すまぬ。貴様の身体は大事ないか?

…だが三成も同じ想いでいてくれたことは嬉しかったぞ。お陰で少々羽目というか箍を外したような気がしなくもないのだが…忘れろ。


私の方はどうやら徐々に落ち着きそうだが、頼むから髪を濡らしたまま徹夜などするでない。風邪を引く一番の原因ではないか。これからは特に冷えるであろうしな。

――…それと最後に、公共の場で人の嘘の性癖を暴露するのは止めて戴きたい。だ、誰がいつ嬲られて悦んだというのだ!馬鹿め!(ぁ)
11 石田三成
礼を言われる程の事でもない。
それに眠ってしまっても構わぬ。――というより、寧ろ寝てくれる方が帰り時が判って良いかもしれぬ。お互い起きていると、その…名残惜しくて、なかなか別れを口に出せぬ故。

先日も言ったが、秀吉様以外の者の指示には従えんな。貴様に忘れろなどと命じられては、意地でも覚えていてやろうという気持ちにしかならぬ。諦めろ。

落ち着きが戻るとの事、喜ばしく思う。これからは今まで忙しなかった分、のんびりと過ごして疲れも取るが良かろう。
髪を乾かす間すら惜しかったのだ…まあ、元々自然乾燥派であるのも否めぬが。
とりあえず体調は問題ない。気にするな。

暴露された、と思っていると?それはつまり、貴様自身己の事をそのように認識している事に他ならぬ。…幾ら俺の計算通りとはいえど、此処まであっさりと鎌掛けが成功するのもつまらぬな(フフン/嫌な奴)
12 石田三成
貴様はもう此処を見ていないだろうとは思うが…気付かれなくとも構わぬ、気紛れに少しばかり筆を取ろう。

相変わらず忙しいのだろうな。それで疲れているのか。
或いは何か事情があるのやもしれぬ。それも仕方あるまい。
ただ、健勝であれと…そう、願う。

もし何も言わずに断ち切りたいのであれば、貴様に文が届かぬようにしてくれると助かる。…ああ、ちゃんと宛先不明の文が此方に戻るようにな。
それくらいの優しさなら、向けてくれても良かろう?
そうでなければいつまでも待ってしまいそうな己が嗤えてならぬ。

久方振りにこの腕に貴様を抱いたあの夜を最後に、というのは存外悪くないと思う。
俺の中に残るお前との時間は、色鮮やかで幸せに満ちているものばかりだ。
詰まらぬ口論などで終わるより、余程良い。
好ましい記憶だけ、大切にしまっておける。

たとえもう二度と言葉を交わす日が来ないとしても、別れの言葉は口にすまい。
――それが、俺の意地だ。