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1 二つ名は紫陽花

私だけの魔法遣い≠ヨ

御前が気付いて呉れるかは判らない。


だけど、気付いて欲しいと思う。


―…魔法は、傍に居る限り永劫と続く。


だけど少し、…―ほんの少しだけ怖いんだ。

御前に私≠ヘ相応しくないんじゃないか、と――不安に成る。


綺麗な御前にはきっと、私は似合わない。


――でも、忘れられないの。


甘い甘いココアの味も、…御前が掛けた優しい魔法も。
9 魔法遣い
全く…──今更、何で態々そんな事訊くかなー。


──…おいでよ。逢いに、来て。


云っただろ?
ちゃんと此処に居るって。
待ってるって。


抱き締めて、離したく無い。


───愛してるよ。
10 紫陽花
…欲しかった、から。


ちゃんとした言葉を、御前の口から聴きたかったから─…。


だから訊いた。

──ダメ、だった…?


今夜、…逢いに行くから。


待ってて。
11 魔法遣い
駄目、なんて云える訳無いでしょ。
そんな可愛く訊かれたら、さ。


不安に成ったら何時でも何でも訊いて良いから。

だから、独りで抱え込むのはナシ。
俺にちゃんと云う事。

─…判った?


──楽しみにしてるからね、キミに逢えるの。
12 無名さん