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1 大罪人

医者見習い

何て言ったら良いんだか…よく分からねェってのが本音だけどさァ。

どォしてくれんだ?
何晒してくれてんだよ、お前。
顔から火ィ出たろーが…全く。

志乃。
お前もっと自信持ったらどうだ。
俺ァ一度だって、お前と逢ったのを後悔した事なんてねェ。
まだ何も返せてないってのに、忘れる訳ねェだろう。


…しかし、俺の鳩もお前の鳩も、何処かで撃ち落とされでもしちゃったのかねェ…?
今年、お前に鳩飛ばした筈なんだけど。


あァ、まぁいいや。
また話せるのを願ってるぜ。
9 清十郎
良い度胸じゃァねぇか、わざと返事しなかったとは。ずるいとはよォく言われたもんだが、いやァ、志乃に言われちゃっちゃ、ねェ(笑)

雛祭りも終わっちまったけど、まぁお前、貰い手つかなかったら俺んとこに来なよ、なぁんて。

さて。
何か特別に言うことあったっけなァ。
…特にねェかな。

ただ、神仏なんざ信じちゃァいないけど…祈るよ。
これから先、お前が楽しいと思うのを。お前が笑うのを、祈る。

ほいじゃ、また。
10 志乃
一月振り。つい倉庫の方から引っくり返してきてしまいました。

桜も咲き始めましたね。
そういえば清十郎さんて、お酒強いのかしら?私はお屠蘇とお神酒くらいしか飲んだことないんですけど。

貰い手云々は…その、ええと………か、軽々しく言わないで下さい。
一大事なんですからね!女性にとっては!
清十郎さんきっと犬か猫でも拾うみたいな心持なんでしょう。…だから、まだ拾われてあげません。

私を笑わせたいなら、神様も菩薩様も必要ありませんよ。
お祈り、お願いするんでしたらもっと大事なことお願いしてください。
隣に清十郎さんがいたら、私は笑えますから。
…私も清十郎さんを笑わせられたらいいんですけど。精進します。

精進しますから……だから早く会いに来てくださいね。
なんて…あ!いや!その、私のが遅れてますし急かしている訳では決してなくて…!
ただそのえーっと…会いたいですよ、って忙しくてもいつも思ってます、ということ、です。はい。
11 清十郎
久方振りだな。俺も引っ張り出して来ちまった。

悪いねェ、まァた、背後の奴の余裕がねェもんだから。ここんとこお前の事、待たせっぱなしで──いや、全っ然背後は元気だから心配ねェんだけどな(笑)

ふふ、猫だろーが犬だろーが、何だって良いだろうが。
俺がお前の事気に入った、それだけじゃァ理由にはならねェかな。流石に。


ん、何てェか……逢いたい。本当はなァお前、逢って、気が済むまで抱き締めたい。──なァんて言ったら、叱られるかねェ。

ま、いつでも待ってるからよ。ゆっくり来な。
12 志乃
ああ、良かった、倉庫に戻ってしまう前に見つけられて。
……それでも十二分に遅いんですけど。ご、ごめんなさい。

清十郎さんが謝る事なんてひとっつもありませんよ!
というか、此方こそ……ああもう、みっともない。
本当は余裕の顔して、清十郎さんをいつも待ってる側で居たいんですけど……偶に、そうも行かなくって。悔しいです。

あ、でも!なんだってよくありませんよ!
幾ら私でも流石に……ちょっと位は、その、夢をですね、抱いてるんですよ。そういうことには。
これでも、女ですから。

ええと、その、それで……だ、抱き締めるとか…………手!て、手をですね…繋ぐんでも、いいですか。
清十郎さんに触れてみたいとは、私もいつも思ってるんです、よ。


……な、なんか纏まらない文章になっちゃった…。
えっとその、大遅刻していて言えた口ではないんですが…清十郎さん、ゆっくりでいいので、此れからも宜しくお願いしますね。