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1 薬売り

俺の…加世さん。

嗚呼…まだ、アンタと出逢って、二月も、経っていないんです、ね。

実は、ね。此処だけの話…

アンタから鳩が来るのを……心待ちにしている自分が居るんですよ。
なかなか、鳩が来ない日は…事故なのか、それとも萎えられたのか、と、日がなハラハラしながら、空を見上げる時も、少なくは、無い。

やれ、やれ。
我ながら…女々しい。


俺の鳩がまた、届いていないんじゃないかと、今も不安なんですよ。実際、ね。


加世さん。

まだ、出会って間もないが…
俺は、アンタに相当参っているようだ。


ふふ。
アンタがこれに気づけるように、鍵を。


二口女。
雨之助。


さぁて…俺はゆっくりと、餡蜜でもつつきますかね。


では。
10 加世
薬売りさんからお返事が来ましたぁ!
嗚呼、良かった。やっぱり、ただの事故だったみたいで。

また、ここも使ってお互い会話する事になるのかしら。
もう呼び掛ける必要が無くなったから、今度は薬売りさんのお返事があるまで、ここはもう、使わない事にしますね。

結局、ここで呼び掛ける事に意味は無かったんだけどォ…(笑)
でも、また会えて本当に良かった。

ありがとうございます、薬売りさん。
11 薬売り
アンタとまた、繋がれた。

それが、らしくもない。素直に、嬉しい。

アンタから、手紙が届いたとき。


打ち切られたか
はたまた病気か
事故か


不安で、引きちぎれそうだった心の臓が鼓動して。
不覚にも、忘れていた涙が。一粒。


此処を確認しなかった、俺も俺。だったが。


嬉しかったんですよ。
本当に。


黄泉道迄…と云うのは。

冗談や、酔狂じゃ、ありませんぜ。


俺なんかが、アンタに似合うか解らんが。


あんたに触れていたい。

もっと強く、確かめたい。

この、痛みを。
この、喜びを。


アンタに、似合う、俺でいたい。


再び繋がれた縁。


大切にしましょうぜ。


……加世さん。
12 加世
ほらぁ。またそうやって、聞いてる方が恥ずかしくなるような事言っちゃうんだから。

でも、ありがとうございます。
アタシ、勇気を出してみて本当によかった。
また繋がれた、っていうのもそうですけどぉ……でも何より、薬売りさんから「嬉しい」って言葉が聞けたのが一番幸せ。


ねェ、薬売りさん。
あの言葉が、冗談なんかじゃないなら…アタシも、本当に、この手が動かなくなって、文が書けなくなるまで、傍に居るわ。

…なァんて、そんなのは流石に無理があるかもしれないけど。
縁が繋がる限りは、ずっと。
一緒に居ましょうね、薬売りさん。
13 無名さん