23日0時0分をお伝えします。

あー……散々迷った挙げ句こんな場所に登場してみた訳だが、恥ずかしいもんだな。

まぁ良い、ここは思い切り開き直らせてもらおう。今日で９ヶ月。お前ならコレで分かるだろ？毎月23日は外せんからな。……それに今日はアレだ、もう何日も待ち詫びていた『古泉独占デー』だ。俺はこの日のために頑張って来たと言っても過言じゃないぜ。

お互い日常に忙殺されてなかなか時間が取れんが、お前のメールには本当に救われてる。直接はなかなか言いにくいモンがあるからな、ここで一人呟かせてもらうぞ。

ありがとう。

前にも言ったが日を重ねるごとに益々お前にハマッてる。こういう経験は初めてだ、お前だけなんだ。そりゃピンク色のマロニー、否……マカロンも作るさ。

それで、だな。お前は俺のためにアレコレ尽力するのが好きらしいけどな、俺もお前のために何かしてやりたいと常々考えている訳だ。添い寝ってのは悪くない案だな、子守歌を歌う自信はないが頭を撫でるくらいのオプションは付けてやっても良い。


なぁ古泉、来月も来年も……ずっと俺の側に居てくれないか？来月も来年も再来年もずっと、愛してるから。

……お前も、開き直るっつうコマンドを覚えたみたいだな。にしてもだ、いちいち持ち上げ過ぎなんだよ、俺はどこにでも居るような何の変哲もない一般人なのさ。

デートなら、喫茶店は外せんだろう。流行りのカフェなんかでなく喫茶店だ。浮ついた新しい店より親父が一人で切り盛りしている店の方がよっぽど落ち着く。これくらいのことで喜んで頂けるとはね。俺も北高に進学してからはあいつらと連んでばかりで高校生らしいことをあまりしていなかったからな。楽しみにしておこうじゃないか。

あぁ、あのつなぎにキャスケット帽、ヒゲ面の双子が出てくるシリーズものだな。俺も、どちらかと言うと単純なゲームを好む方でなファイナルなんとかよりはドラゴンなんとかの方が長くはまってたぜ。幼なじみを取るか富豪の娘を取るか悩んだもんだ。なら、ゲーム大会が催された暁にはお前のドライビングテクニックを拝見させて頂こう。バナナの皮、なんて手には引っかからないんだろ？

分かってはいるつもりなんだが、お前が俺をどれだけ想ってくれているか。もう何度も実感しているはずなのに、それでも不安に駆られるのはお前の言い回し云々じゃない、多分今が幸せ過ぎて、この幸せがいつか壊れちまうんじゃないかと、ついそんなことを考える。まったく、人間ってのは面倒な生き物だよ。幸せなときも、不幸だと感じているときも同じように、心に闇を秘めているんだからな。

お前からもらった曲はすぐに着うた_フルでダウンロードして、今は毎晩寝る前に聴いてる。この曲も、前の曲もコレがお前の気持ちだって考えると、それだけで胸がいっぱいになるね。……つまり、その。ありがとな。

伊達に一年もの時を過ごしていませんよ、僕だって経験を詰むんです。現時点では“喉自慢”といったところでしょうか……。ちなみに出典はド／ラ／ゴ／ン／ク／エ／ス／ト／７、基本職吟遊詩人の第三段階です。奇遇ですねえ、僕もRPGのパイオニアといわれて真っ先に思い浮かべるのはファイナルなんとかではなく、上記の作品なんですよね。ときにあなたは幼なじみと富豪の娘のどちらに求婚なさいました、いえ、どちらがあなたの好みですか？双方共に魅力的だと思うのですが、僕は深窓の令嬢に惹かれます。天真爛漫でバイタリティ溢れる女性は涼宮さんでお一人で事足りるというか……あ、これはオフレコでお願いしますね。
持ち上げるも何も、貶すような部分が一つもないのだから仕方ないでしょう。あなたはご自分を「平凡な人間だ」と称しますけれど、僕にとっては誰よりも輝いて見えてそばにいるだけで安らげる、かけがえのない人なんです。この調子じゃきっとお気づきいただけてないんでしょうね。今の機会に教えてあげます、あなたは僕だけの魔法使いなんですよ。あなたの何気ない仕草で僕は言いようのない幸せに包まれる。こんなこと、魔法でも使えないと起こり得ないです。
こんなのはただのこじつけでしかないですね。凡庸でも構わない、“あなた”だからこんなに愛おしいんです。人込みの中で見つけた僕の宝物だから。……なんて、ちょっとくさいですね。

第一印象は頑固、打ち解けるにつれ人情溢れる人柄が浮き彫りになる親父さんが経営する、隠れ家的喫茶店へ行きたいと。お任せください、お眼鏡に叶うような場をリサーチしておきます。ふふ、二人だけの秘密の場所が増えるといいですね。僕個人としては、絶品スイーツを味わえるカフェに足を運びたいのですが……その折りはあーんでお裾分けしてあげますからね。


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笑い話にもならない恐怖をぶちまけて血の海を見たことは記憶に新しい。芋づる式に恥も外聞もなく追い縋ったあの日の光景が思い出されて、何だか苦々しいものが口の中に広がり始めました……。下手な冗談はやめて。あなたの不安は僕の中で延々と燻っていた負の感情と寸分も変わらないものなんですよ。
同じ道を歩む限り永遠に付きまとう命題でしょう。形あるものいつかは壊れる、幼い頃からこの言葉通りにいくつものものを━━おもちゃに限らず友情や職務、数々のものを手放してきました。有り難くもない先人のこの教え、極めて信憑性が高いと推察出来る。だからといってみすみすあなたを手放すつもりはありませんよ。胸中に巣食う心の闇は僕が一つ残らず払います。少しでも不安になるようなことがあれば呼びつけてください。いいえ、呼びつけて欲しい。何があってもすぐに飛んでいきますから。

目論見は少しずつあなたの中に根付いているようですね。その内にバナナの皮を見ただけで僕の姿がよぎるようになるんです、僕のドライビングテクニックは比類なきものなんで一目見ただけて惚れ直すこと間違いなしです。

あ