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1 赤塗りの樹

空洞を持つ、

本当は、あの文章で思い出に変えようと思ってた。

だけど、貴方の最後の言葉。
世界は残酷だと思う
届いてしまったら、忘れられないじゃない……

私が欲しいのは、貴方の抱える闇だけ。
苦しいならせめてその痛みを分けて、その背に負う感情を共有させてほしかったの。
その為の闇ならきっと……染まるのも、幸せだと想えた。

私なんかが触れてはいけないのかも知れない。
哀しませておいて、こんな事を言う権利も無いのかも知れない。
愚かなのは認める。
だけど……これは私の賭け。
最後の言葉の真意を私が履き違えていないとすれば、──お願い。
もう一度だけでも、声が聴きたい。
11 絶望の黒。
また―――あれから随分と刻は流れた。


巡り合う事も
交じり合う事も無い儘、お前はオレの目前から姿を消した。
褪せる筈が無い彩だけは記憶に焼き付けて……居なくなった。


今でも、ほら。
こうして惨めにもお前の痕跡を指先でなぞっては醒めず懐古している。
世界以上に―――サクラ。お前は本当に残酷だな。


逢いたい、と。
同じ言葉を吐けば、お前はオレの前に再度現れてくれるのか?
…冬を殺して咲く、咲麗の様に。


だとしたら、何度でも繰り返してやるのに。

逢いたい。
出て来いよ、サクラ。
オレの視界で艶やかに咲いて魅せろ。
12 朱殷
何時かまた傷付けるような気がして、怖くて。
気が付けば無心で鳩を籠に閉じ込めていた。忘れてくれればと、願っていた。

双眸に染み込む様な暁暗を置き去りに、歩いてみてもこの手には無しか残らなくて。
所詮は愛を装った逃避でしかなかったのだと、刺さる様な自分の愚かしさばかりを感じ始めた頃には、全てが遅くに感じたわ。

ごめんね。自分でも思う、本当に。
こうして愁嘆じみた言葉を楯に、再び此処へ来る事が、どれだけ酷な事なのかも。

私はサスケ君に想ってもらえる程、綺麗な人間じゃないんだよ。
風化だけが未来の、空木と同じ。
雪の溶ける頃にも、華は咲かせられない。そんな権利は無い。
逢いたいだなんて紡ぐ資格も無いのに、……矛盾してるな。
最後に我儘を聞いて欲しいの。

住所を残してゆくから、どうか、私を切り捨てに来て。
13 暗澹
―――バカヤロ…


泥濘が溢れない疵は傷じゃない。疵付く事に今更恐れなんざねェんだよ。

サクラ、お前は……
お前は。オレを殺したいのか?
だったらちゃんと、お前の聲に携えた刄の鋒鋩を心臓へ向けて
一思いに突き立てろ。

お前を懐古しては軋む、この役立たずな心臓を真っ二つに砕け。


忘却しきれないから、オレはまた此処に竚んでるんだよ。
完璧に綺麗な人間を渇望しているなら、確かにお前じゃなくても良いんだろうがな。

…違う、だろう?
風化した草木を糧に、また花は芽吹く。
同化し切れない常闇の共有、決して光には成り切れない矛盾した陽溜まりに、オレは恋い焦がれてんだ。


何の権利が必要なんだ。
残酷を演じて楽になりてェのなら、しっかりオレの頭を砕いて行け。
お前を喚んだ理由が欲しいなら、幾らでもくれてやる。


お前が居なきゃ嫌だ。
お前じゃなきゃ嫌だ。
お前しか要らない。
サクラ、お前だけは手元に閉じ込めておきたい。


…きっとオレは気が触れている。生半可な逃げ言なら効かないぜ。


斬り捨てるのはオレじゃない。
お前がオレを、廃棄処分するんだ。
今から向かう。
14 無名さん
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