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1 無名さん

安さに限界 スーパー玉出

 パチンコ店のような派手な看板や「1円セール」が名物の「スーパー玉出」(大阪市西成区)。いま、「日本一の安売り王」からの脱却を目指し、経営改革を進めている。運営会社の湯本正基社長に話を聞いた。

 ――近年の物価高の影響はいかがですか。

 「仕入れの値段があがり、人件費も高騰している。本当に状況は苦しい。例えば仕入れ値が10円上がったら、売るときの値段も10円上げて、それで売れたらいい。でも、なかなか売れない。買う人の給料がそこまで上がらず、追いついていないんだから」

 ――スーパー玉出には「日本一の安売り王」との異名がありました。

 「かつてのような『安売り王』を目指そう、とは僕は全然思わない。目指したいとも思わない。『1円セール』も昔ほどはやっていません」

 「スーパー玉出は今も安いほうだと思う。手づくりの総菜などは500円以下で、人気がある。けれど、物価高の時代、これからは従業員の給料もしっかり上げていかなければと思う」

 「正規のルートでナショナルブランドの商品を仕入れ、仕入れ値が上がり、従業員の給料も上げて、それで安く売るには限界があります」

 ――今年6月には首都圏を地盤とする「肉のハナマサ」との業務提携を発表しました。創業した西成周辺への出店強化も進めています。

 「6年前、お客さんがスーパー玉出からどんどん離れていったときがあった。売り上げも急落した。その中で、西成の人たちはスーパー玉出で買い物を続けてくれた。それで、経営もなんとか乗り越えられた。西成の人は温かいんです。まだ昭和の香りが残っている街。僕たちはここで勝負をするしかない、とそのときに思った」(福岡龍一郎)