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13 無名さん
(窓の縁に身を預け月明かりに照らされている嘗ては美しかったのだろうが現在は雑草や蔓に覆われ鬱蒼としている庭園を特別何を思うでもなく無感情にぼんやりと眺めていれば聞こえた錆びた鉄扉の開く耳障りな音のする方を向くと片手に何処で見つけたのか灯りにするには些か心許ない炎が灯った手燭を持ち戸惑いの表情を浮かべたこれからの運命を共にするであろう少女が目に入り警戒心を煽らないようにと繊細の注意を払い柔らかい表情と声音で話し掛け)やあ、お嬢さん。こんな夜更けにどうしたのかな?