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19 無名さん
五連投してた妙にひらがなの多いツツジソロル@

… そこから先、立ち入り禁止!

(吸血鬼のマントに潜ませた扇を取り出すと、右脚を軸にくるりとその場で回転し、空気を一あおぎする。日本舞踊で身につけた挙措だ。ツツジを柱にして渦を巻きあげる風が、またたく間のうちにまわりへと護符を配置していく。そのおかげで、一時的なものとはいえ、霊体たちはかれらの間合いに踏み入れなくなった。そればかりか獲物のまわりを浮遊する護符に攻めあぐね、戸惑っている。
 その隙を見逃さずに、ツツジは果敢に走りだした。自身を包囲する幽霊の一体に狙いを定めて、片手をぐっと突きだし、その身体に触れようとする。指先でもタッチしてしまえば、糸で縫いつけて捕縛できるのだし、そうなったら後は煮るなり焼くなりこちらの物だからだ。
 だが、その手は空をきった。霊体には物理的に触れられないという基本的な事実を見落としていた。ひとまず輪の外に脱することはできたが、出口とは逆の方、つまり森の敷地のさらに奥につづく側に回りこんでしまった。哄笑する霊たちは隊列を変え、横並びとなり、じりじりと距離を詰めてくる。)

A
わ、笑うなんて…… 僕が怖がってるのを楽しんで……あ……あ、……っ。

(恐怖に顔を青ざめさせながら、後じさるツツジ。揺るがぬ勝利を確信した霊たちは、黒い洞穴のような目、口角を釣りあげながら迫ってくる──ツツジはにやりと笑みを浮かべると、もう一度前に出て、霊にむかって突っこんでいった。
 無謀にも思われる攻撃。しかし、空を切るかと思われた手は何かに触れていた。そしてそれは、ひとりの霊の身体、霧を固めあげたようなガス体の一部を、ごっそりとこそげとっていた。)

B
最初のアレは油断させるためのブラフ。これで僕は包囲されてもいないし、出口の方に走って逃げることもできるよね。さてと、逃っげろ〜!また会おうね!
(ツツジは密かに手の内側に[護符]を貼り付け、その状態で相手に触れたのだった。当たらないはずの技で油断を誘い、幽霊を手負いに追いこむだけでなく、逃走の経路を確保する作戦はもののみごとに成功だ。
 手玉にとられ、怒り心頭の幽霊たちは気体の身体をうすく引き延ばしながらひとつの集塊になったかと思うと、いっせいに襲いかかってきた。それはたちまち、荒れた海の浜辺に打ち寄せる波涛のように、はるか高くまでふくれあがった。)
20 無名さん
C
ヒールの高い靴で来たの失敗だったよ〜!うわーん、追いつかれちゃうかも!

(懸命に走りながら、ときどきは振り返ると、護符を地面に貼り捨てていく。とても幽霊の追いかけてくる速度を減殺できているようには見えなかったけれど、やらないよりは多少マシだろうという判断だ。
 入り口の半開きになった扉がようやく見えてきた。息をきらしながら細い体を滑りこませると、急いで扉をタッチする。にぶい軋みを立てながら閉まっていく木戸は、幽霊たちが外に漏れ出してくる前に、ぴったりとその口をとざした。
 危難は去ったらしい。隠せない疲れが襲ってきて、へなへなとその場に座りこむ。)

D
危なかったあ。……あれ、どう見ても弱い幽霊さんじゃないよね!?貼り付けた護符、ホントに意味あるのかなあ……

(その後。学園長へ簡潔な報告を済ませると、白い髭を蓄えたその人は能天気に笑っていた。3年生には荷が勝ちすぎるこの任務は、これにて無事終了とのことらしい。
 その一件からしばらく、マーゴット寮の一室の前には、盛り塩がされていたとか…… 御幣を持ち歩いて、場所をえらばずお祓いをしている紫色の髪の生徒がいたとか、いないとか…… 。そうして悪目立ちしているお騒がせツツジの悪名が、さらに轟いたのだった。おしまい!)

(↓)

ツツジはこのロルだから煮干しでも相手にされてなかった