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2 無名さん
1 十/龍/之/介
助けてほしい。
お疲れ様。ごめんね、切羽詰まったタイトルで。実際に切羽詰まってるし、正直、死にそうな身体と心を引き摺って、撮影で動き回ってたところ。折角記事を開いてくれたのに、ろくな気遣いもできないままで、本当に申し訳ないんだけど、…そんな俺に、力を貸して欲しいんだ。いいかな。

…単刀直入に言うと、昨日、だいすきな恋人に振られちゃって。長い期間付き合っていたわけじゃない、…それでも、あまりにも濃密で、毎日息が止まりそうなほどしあわせで、今でもあの子が与えてくれた温もりの残り香が消えないし、優しげな瞳の色もずっと覚えてる。いつまで経っても、俺の心と体は、あの子を覚えていて。もう居ないのに、勝手に心と体があの子を求めるんだ。心の息の根を止めようとしても、やっぱりだいすきだな、と何度でも思い知って涙が溢れる。ただ元気に、生きていてくれたら。俺のそばにいてくれたら。それだけでよかったのに。いざ幸せに身を投じると強欲になって叶わない願いに暴れたくなって。愚かだな。自分を、心の底から、そう思う。あの子が限界を迎えてることなんて何一つ知らなくて、いつも我慢しなくていい、だいすきだって受け止めてくれて、ああ、今の俺のままでいいんだ、この子は、俺がどんなに重い感情を伝えてもこんな風に優しく包み込んでくれるんだって、思っちゃったんだ。何も知らずに。脳内お花畑だよね。どうして気づけなかったのか。自分のことを、鈍感で馬鹿だなって、生まれて初めて思った。この恋を、どうやって閉じればいいのかわからない。代わりなんていない、いらない。寂しさを紛らわす誰かの温もりもいらない。