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20 無名さん
■[吉野]
[入場]DE
(黒のVネック七分丈Tシャツ、同色ダメージジーンズ。小脇に霞草と蕾混じりの五分咲き白百合で見繕って貰った花束を持ち、金色に脱色した髪を揺らしながらゆっくりとした歩調で断崖絶壁へとやってくると、先端より一歩手前の辺りでその歩みを止め、静かに、深呼吸して。潮の香りを含んだ空気を長々と吸った息を一度止め、またゆっくりと吐き出す、僅かに下がった視線を真正面の闇へと見据え)―――今年もまた巡ってきたな、『今日』が、さ。