Write
35 無名さん
あぁ○にたい。そんな言葉が簡単に出てくる夕方。フローリングの床に寝そべりぼんやりと天井を見つめる。そろそろ電気をつけないととわかっているけど身体が動かない。
辛い。酷い喪失感が体の中心にある。痛い。

「〇〇くん」

口に出したそれがあまりに特別で、ボロボロと涙が出てくる。
〇〇くん、〇〇くん。なんで居なくなっちゃうの、私〇〇くんが居ないと生きていけないのに、ねぇなんで。
あぁ日が暮れる。お昼は頑張れるのに、日が落ちると共に私の心はいつも沈んでいく。辛い。薬、薬飲めばいいかな。あれでも、今日何錠のんだっけ。えっと、えっと……、
指を折って数を数える、3本おったところで音がした。がちゃん=A

「……ぁっ、」

その音に私は立ち上がり、玄関に向かってかけていく。ドタドタとうるさい音が暗い家に響いて。そしたらパチ、と玄関の電気が付けられて。

「〇〇くん……っ!!」

その光の下にいる彼は、私の命だ。まだ玄関で、靴も脱いでない彼に向かって私は足の速度を止めて、───思い切り、抱きつく。

「おか、おかえり、なしゃぃ……っ、あのね、わたしね、いい子にしてた、さみしかったけど、〇〇くんがいなかった、7時間と43分、ちゃんといい子に待ってたよ……っ、」