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40 無名さん
(はぁ、と思わず疲労に染まった重ったるい溜息を唇から零しながらカツカツとブーツの踵音を鳴らして廊下を歩く。歴史へとその名を刻んだ程の軍師が自分の内側に憑依している理由ぐらいは心得ている、故に戦場そのものは恐ろしいが其処へ立つ事を厭う気はないし厭える立場でもない…とは言え流石にこれはあんまりだ、と言葉にしないながらも雄弁に語るその溜息をもう一度吐き出してから貸し与えられた自室の扉を開き、空気が抜ける様な音と共に広がったその隙間へ体を潜り込ませた)
……あーもう、過労死サーヴァントの代名詞は兄上達じゃないのかい!魔力配布の為に連れて行かれる連続レイシフトなんて私は飽きたぞ!(一直線に向かった部屋奥のベッドへ飛び込んで子供の様にバタバタと両足を振り回すはしたなさ位は自室という場所柄ご容赦願いたい、と誰に言うでも無く心の端で思いながら叫べば後ろを無音で付いて来ていたトリムマウ…概念礼装・月霊髄液…平たく言えば水銀で出来た自立可能な特殊マジックアイテムの類い、がメイドの形を取ってテーブルに置かれていた小さな木箱を運んできた。開かれた中に整列するのは一粒大のチョコレート、一つ摘んで口の中へ放り込んでからぐってり脱力した私に非はないと思いたい…等とまた内心で愚痴りながら溜息を吐いた)


三点リーダロルこれか