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46 無名さん
(ほとんどノープランでの誘いだったが、自分の代わりにお店選びをしてくれた頼もしい後輩のお陰で大満足の外出となった。ネヴィリムのしたり顔も今日は一段と輝いて見えて、イングリッドは自身の頬が緩むのを自覚した。フェリティーロ、店名の響きも気に入った様子。店内の雰囲気は落ち着きながらも地味ではなく上品さが溢れており、挨拶を向けた店主へと一礼を向けて。)

ふふ。ありがとね……。卒業前の、最後の学園祭で着ていく衣装を一緒に選べて、とっても嬉しい。この思い出は忘れないよ、きっと、ずっとね。……やっぱり。ヴィーがパーティで着ていくならその色だよね……!えへへ、それじゃ試着してこよっと。シエルのドレスも楽しみ……!みんなより一足先に、見せて貰っちゃお。

(ネヴィリムの選んでくれたドレスを手に、一旦二人と別れて試着室へ。やや間を空けて姿を現し、お披露目。……と、言う程大したことでもないが、付き合ってくれた手前、見せる義理はあると感じていた。同時にイングリッドは顎に手を当て、まじまじとドレスを着こんだネヴィリムとシエルを見据えて。)

……うーーん……正直、二人の方がセンスはあると思うけれど……。うん、これにしよっと。……もうこんな時間可。そろそろ帰ろっか。これは買うって事で…ふふ、ダンスパーティが今から楽しみだね……。

(気が付けばもう日が傾きかている。いつの間にか、随分と昼の時間が短くなった。もうすぐ辺りは暗くなる頃合いだろう。制服へと再度着替えたイングリッドは変える道すがら、二人へ小さな小包を渡した。中身は、ネヴィリムのものはうっすらと桃色かかったハートゴールドの素地に小さなペリドットの付いたイヤーカフ。シエルのものはシルバーの素地にガーネットが嵌められたネックレス。)

これは今日のお礼だよ。ドレス姿に似合うかなーって思って選んだんだ。……今日はほんとに楽しかったよ。暗くなる前に帰ろっか。晩御飯に遅れちゃう。

(真っ赤な夕陽に照らされて、長い長い影法師を引いた三人は、学園に向かって歩みを進めただろう。)