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59 無名さん
参考描写:(玄奥な暗闇の直中月明だけの仄かな明かりが薄い紙で隔てられた先から明度を示し宵が昂じ風や葉の揺らめく音が判然とする程の静穏に支配された一室で目を覚ますと不思議と重く感じる上半身を起こし腕を頭上高くに伸ばすと口許を掩蔽せず欠伸を漏らし長く息を吐けば首を回して辺りの様子へ目を滑らせるも直ぐに正常に動作しない鈍った脳で時間帯を把握し力を抜いて再度一人褥に横臥しては思考を巡らせる事はせず己の意識すらも睡眠の渦から解放された直後では弱々しく認識する事しか叶う事無く視界は霞んで映り輪郭が明確にならない状態で僅かな時間を過ごすも逸した睡眠欲と静けさから空虚感に心臓を侵され昼間や他者が傍に存在する折とは遠々しい状況に緩徐にも沸き上がる寂寥に胸中を潰されると辛抱ならずに自身を覆う布を退けて枕を片手に紊る狭衣を厭わず明瞭としない意識の闌で身体を持ち上げては崩れた褥を直さず空いた逆手で襖を開くと朧気ではあるものの無彩度で明度を拒まれた陰翳に居た身には
60 無名さん
頭上から降る彩度が著しく失墜した澱みの一切見当たらない夜空で輝くそれは粲然たるものに感じ瞳を瞑って重い瞼を持ち上げるも目に痛い光に眉を顰めて他者の起床を促さない様にと歩を進める毎に鳴る無機質な音に気を遣いつつ風通しの遮断された空間から抜けて来た故に肌に触れる空気の心地良さに足を止めるも病衣にも似た質を含有する衣服の所為か直ぐに肌寒さに身を震わせ朦朧とする意識の中であった為に智見した時間から予測出来る筈の気温を頭に留める事せず素直な意に従って退室した際に上着の存在を失念していた動静に後悔の念から溜息を溢し蹌踉けて覚束無い足取りの中、目的の部屋の手前で静止すると中から電燈の淡い煌きが漏れ陰が蠢く事が物語る事実に安堵の色浮かべて自然と先程迄の様相とは一変した嫣然を湛えれば遠慮の欠片を見出す意志すら損なう様な勢いで襖を開くと此の間の所持者の姿目にした刹那掴んでいる枕を投げ当て室内へ容認確認以前に踏み込んでは後手に外気を隔てるものを元に戻して床に落下する自室から持ち込んだ寝具には無頓着に欣幸の至りの笑みで傍へ駆け寄り相手の着衣する布の裾を右手で引いて余剰した左手を己とは別の腕に有する体温へ伸ばすと小夜の風で冷えた体温との差から容易に伝わる温度に寂寞とした感情は消え去り至極幸せそうに見上げて視線を交わし緩く口角の上がった綻んだ表情見せ放漫で弛む柔和な甘みを有する声音漏らし)ねね、一緒に寝よう?それとも一緒に遊ぶ?