64 無名さん
(陽光翳らす憂鬱に染りし空模様に落胆隠せず肩を落とした際の衝撃で収穫篭から零れた瑞々しい緋色放つ蕃茄拾うべく地上転がる其を追い掛け茂へ姿を消した旨視認すれば膝を屈曲し上体を屈めた後に片膝付きつつ利手を茂へ潜らせ葉枝が擦れ合う鈍音と共に頬を掠める濡れた感触覚え梅雨時分の気紛れな移り変わりに舌打ち一つ、漸く手にした物を引き摺り出せば瞠目するも円な黒褐色の瞳と視線交錯した瞬間身体に走る落雷の如き衝動に駆られる儘収穫籠を放り出し怯えさせぬ様丁重な仕草で腕に閉じ込め愛別離苦を味合わぬ為に如何に行動に移すか思考巡らせる最中脳裏に過る虎を連れた刀剣男士の様に背を押され通い慣れた部屋へ脇目もふらず駆け出し、辿り着いた部屋の襖を入室許可も得ぬまま無作法に開け放ち部屋の中央に坐した相手へ迫り腕の中で大人しくしていた生物が頭を擡げ威嚇すべく唸りながら牙を晒す様を気にも止めず角張った頭部から体列鱗数23列のくすんだ緑をした体躯を撫つ)…可愛いだろう。運命を感じた。飼いたい…君は俺の味方になってくれるな…?
描写部屋膝ロル
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