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66 無名さん
うわさのイタコロルはこれ

代理 > ――あぁ…っ…(悲鳴のような吐息が口から零れる、ガクガクと小さな身体を震わせ、その場に膝をつく。はらはらと舞い落ちる桜の下、彼処にいるのは若かりし日の己と――もう動かない彼。満開の桜の下で永遠の別れを告げたあの日。)止めろッ、何でアレを見せるッ!(深く、記憶の底に沈めておけたらいいのに。繰り返し桜が見せる記憶。慟哭が聞こえる。泣いたんだ、泣いていたんだ。喉が破れて血を吐いて、泣き過ぎて血管が破れた目からも血を流し沢山、泣いた。若き日の己が泣く様を見ながら胸を押さえ、世界が終わったあの日を思い知らされる。『……泣けない、可哀相な子』いつの間にか己の傍らに来ていた彼女に顔を向けた。『空いてしまった胸の穴は戻らないのよ』彼女の細い指が己へと伸び、つられて其処に視線をやる。ポッカリと。胸に大きな穴が。) 04/03(日)22:42