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71 無名さん
1:大/包/平
花無心にして蝶を招く
深緋と喩うべきか、
或いは濃紅か。
開け放っていた室に花弁が迷い込んでいた。
気の早い寒椿かと思いきや、如何やら山茶花らしい。庭の奥でひそりと盛りを迎え、人恋しさに飛んで来た様だ。臘月と称するに相応しい慌ただしさで愛でる者が居なかったのだろう。
そう思うとこの花がいじらしく思えてな。たった一片のそれを拾い上げ、この文へと添える事にしたのだ。
花無心招蝶。
花は誰から教えられる事もなく蝶を招くと言う。蓬莱の玉の枝には及ぶべくも無いが、俺の元に未だ舞い来ぬ蝶を誘う事はあるやもしれん。
来たる春、未だ遠けきその季に、二振り並んで雪解けを見守る二世を想う。


斯様な調子で五日間、俺の片恋の相手となってくれる一振りを募る。
期限後にお前が出す答えは自由だが、継続の如何は互いの相性次第だ。
此方からは俺のみ。募る姿は刀種を縛らず恋仲が居らん一振りとさせて貰おう。仮初めの恋慕とて他刀の恋路を邪魔する趣味は無いからな。

気が向く侭に書き殴ったが、興が惹かれた刀が在るならば連絡先を添えた文を送ってくれ。追って此方から帯の誘いを返そう。
お前からの文を暫し待つ。
2018/12/18(火)18:47

こういう奴ってなりきる気が無いの?