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71 無名さん
質問なんだがこういうのって何ロルになるんかな?

天頂高く昇る満月も血生臭いこの夜には少し赤みのかかったよう。人の溢れるアリーナは狂ったような熱で一晩中残酷な遊戯を見せている。己の金を賭けた選手の命が削られていくのに野次を飛ばす人混みの中、一人立ち上がり騒ぐでもなく最後列に腰掛けたままじっと闘技場に目を凝らし。脚を組み、組んだ膝上に肘をつき、頬に手を当てる力の抜けた姿勢で少し眉を寄せ、沈黙を守り試合を見続ける。戦車に乗った槍士対大型の肉食獣の試合はもう佳境に入ったよう、結果は惨敗。戦車の車輪に闘技場の小石を詰まらせ転倒し、東来の新作武器である十字槍も十分に扱えずに、軽い鎧を着た男は肉食獣に間合いを詰められていく。あとは一方的ないたぶりしか予想できない。唸りを上げる獣の今にも飛びかからんと丸めた背に客席いっぱいのブーイングが乗っている。重苦しいその一瞬まで男は槍を手にしたまま、ギブアップを宣言するタイミングを窺っているようだ。戦う意志を読み取れず、前のめりに成り行きを見守っていたその緊張感を解いてふうと長く息を吐けば背を伸ばし頬から手を離し片手を尻の後ろについて、悩ましげに唇を軽く噛み。あくまで口惜しいのは見慣れない武器の暴れる様、その威力。けして血を見たい訳ではなく、男の手に握られたまま飾りと化している槍から未練がましく視線を外せぬままゆっくりと渋面を作り目を閉じゆき。男が逃げ込むが先か、獣が男を襲うが先か。賭けの結末など胸が悪くなるだけ、早々に見ることを放棄して周りの反応を聞くだけで集結を待つことにし、二度ぱたぱたと組んだ爪先を軽く持ち上げ遊び/↑)…ああ、期待してたのによぉ…新作の切れ味…