Write
88 無名さん
―――時刻は夕暮れ時。ある目的のために一人旅をしていた少女、ブレイク・ベラドンナは困っていた。彼女はいつの間にか道に迷ってしまったようで、見知らぬ森の中でどの方角へ向かえばいいか分からない状況に陥っていた。やや癖のある波打った黒髪を持ち、頭につけた大きなリボンが特徴的で、ボディラインの出る燕尾服を思わせる黒と白の衣装は彼女の色っぽさを際立たたせる。
ある事情により、他人を避けて行動する彼女は一人でいる時間が多い。しかし、見知らぬ土地で迷子になるというのはやはり孤独感というものを強く感じてしまい、不安と焦りが彼女の心臓の鼓動を早くする。

「困ったわね.....。もう日も暮れているし、今日は野宿するしかないかしら。」

寝具もない場所での野宿....さすがに抵抗はあったが、頼りとなる光源が月明りのみの状況でさ迷い歩くのは危険だと思い、何処か寝られるスペースが無いか周囲を探索し始める。10分ほど探し回った頃、遥か遠くにうっすらと明かりのようなものが見え、ブレイクはその明かりに向かって歩き出した。もしかしたら寝泊まりできる宿があるのかもしれない。そう期待し歩みを進めると.....彼女の視界に入ったのは.....とても立派で豪華なホテルだった。その外観からして高級ホテルと呼んでも違和感は無かった。

「えっ、こんなところにホテル....?」

森に迷い込む前、行先までのルーチは大まかに確認はしたはずだが、ここまで豪華なホテルは無かったように記憶している。仮に見落としていたとしても、こんな場所に建築するなんて常識的にはありえないはず。それとも私が夢でも見ているのだろうか...。

「何はともあれ、今日は野宿しなくて済みそうね。長旅で少し疲れたし、しばらくは泊ってみてもいいかもしれないわね.....」

しかし、今はホテルの存在を疑問に思うよりも、疲労と眠気の方が勝った。ホテルの正面玄関の前へ移動すると、ブレイクはその扉を開けてエントラスホールへと足を踏み入れるのであった。(突然の描写遊び失礼したわ。これを持って自己紹介の挨拶とさせてもらうから.....宜しくお願いするわね。)