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1 紅い翼を持っていた者

レキへ

この名前を他の世界でも使っているから、少しぼかした。
オレの本当の名は紅羽だ。

アンタと離れ離れになってから、もうすぐ1年になるんじゃないかと思う。あの場所は、もう少し寒さが深まった頃になくなった筈だ。
こんなに時間は過ぎたのに忘れられなくて、吐き出してるオレを許して欲しい。

今、新しい世界で暮らしてる。
オレはあの頃より少しだけ社交的になって、笑ったり冗談を言ったりも出来るようになった。成長した気がする。
恋人も出来た。アンタとは全然違うタイプを好きになった筈なのに、やっぱり何処かで面影を求めていたみたいだ。アンタと違う場所を見付ける度に落胆する。…また、あの時みたいに、自分から思いを告げた癖に自分から別れようと考えてしまうんだ。
相変わらず牛乳は好きだ。毎日欠かさず飲んでいるが相変わらず背は伸びていない。早くアンタに追い付きたいのに。

アンタのこと今も変わらず好きだ。もう、この世界にはいないのかもしれないが、それでも好きだ。オレの初恋がアンタであることが変わらないみたいに。
時々、不意にアンタを思い出しては無性に会いたくなる自分が居る。どうしてあんなに弱かったんだと後悔もする。
アンタがくれた言葉、1つでも覚えておけば良かった。凄く悔しい、凄く。

まだアンタが誕生日にくれた指輪は持ってる。四ツ葉のクローバーを結んでくれた、あの指輪。
本当はアンタの誕生日にマフラーを贈ろうと思って編んでたんだ。夏頃にほどいて捨ててしまったけれど、もしアンタが受け取ってくれるなら、もう一度編みたい。深緑の綺麗な色だったんだ。きっと、アンタによく似合う。

これからも、アンタへの行き場のない気持ちが溢れそうになったら来ようと思う。
あわよくば、アンタがオレの言葉に気付くよう祈って。
2 無名さん