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1 無名さん

ロル談義

晒し禁止

前スレ>>>61242
97 無名さん
(絶望が吹いている。秒速百メートルを優に超える超風。人が立つ事はおろか、生命の存在そのものを許さぬ強風が叩き付けられる。既に風などではない。吹き付けるソレは鋼そのもので、風圧に肉体が圧し潰される。眼球が潰れる。背中に壁がめり込む。手を上げるどころか指さえ動かない。逆流する血液。漂白されていく精神。痛みなどない。痛みを感じ、堪えようとした事など、ここではあまりにも人間らしい。とける。抵抗する苦悶さえあげられない。何もない。抗う術などない。先に、前に進まなくてはいけないのに、指一本動かせない。白くとける。体も意識も無感動に崩れていく。前へ。なんのためにここにいるのか。それでも前へ。なんのためにこうなったのか。あの向こう側に。なんのためにたたかうのか。この風を超えて、前へ。────消える。体は初めから敗れていても心だけは負けるものかと食いしばっていた心が消える。保た、ない。どんなに力をいれても動けない。どんなに心を決めても残れない。自分の全存在を懸けて右手を握り締めようと試みる。それが出来れば踏み止まれる。体の一部が動けば、その感覚を足場にして前に出れる。拳を握るどころか指先さえ動かない。左眼が潰れた。風鳴りが鼓膜を破る。薄れていく意識と視界。その、中で、ありえない、幻を見た。立っている。この風の中であいつは立っている。立って、向こう側へ行こうとしている。──当然のように。赤い外套をはためかせ、鋼の風に圧される事なく、前へ。顎に力が入った。ギリギリと歯を鳴らした。右手は、とっくに握り拳になっていた。赤い騎士は俺など眼中にない。わずかに振り向いた貌は厳しく、この風に飲み込まれようとする俺に何の関心もない。ヤツにとって、この結果は判りきった事だった。俺ではこの風には逆らえない。自分を裏切り、手に余る望みを抱いた男に未来などないと判っていた。ヤツの言葉正しい。溜めに溜めた罰は俺自身を裁くだろう。だというのに、ヤツの背中は。

“────ついて来れるか”

蔑むように、信じるように。俺の到達を待っていた)

────ついて来れるか、じゃねぇ。

(視界が燃える。何も感じなかった体にありったけの熱を注ぎ込む。手足は、大剣を振るうかの如く風を切り、渾身の力を篭めて、赤い背中を突破した)

てめえの方こそ、ついてきやがれ────!
98 無名さん
なんのためにここにいるのか。それでも前へ。なんのためにこうなったのか。あの向こう側に。なんのためにたたかうのか。この風を超えて、前へ。────消える。体は初めから敗れていても心だけは負けるものかと食いしばっていた心が消える。保た、ない。
99 無名さん
このスレも保たない
100 無名さん
お わ り